【WBC・準決勝】日本代表6-5メキシコ(3月20日/ローンデポ・パーク)
日本中が歓喜した、WBC史上に残る名勝負となった。
1点を追う9回裏無死一、二塁で打席に立ったヤクルトの村上宗隆内野手は、これまでの不振を振り払うかのようなサヨナラタイムリーツーベースを放ち、日本を決勝進出へと導いた。
ファンの期待が見えないプレッシャーとなったのか、村上は不振にあえいでいた。試合前までの打撃成績は17打数4安打0本塁打3打点、打率.235。3番に座りチームを牽引してきたエンゼルス・大谷翔平投手、村上に代わり4番に座ったレッドソックス・吉田正尚外野手をはじめ、カージナルスのラーズ・ヌートバー外野手やソフトバンク・近藤健介外野手、巨人・岡本和真内野手ら村上の前後を打つ打者がチャンスで好打を放っていることもあり、村上の存在感は相対的に薄くなる。
この試合も、3打席連続三振にファールフライと快音が聞かれなかったが、最後に三冠王の意地をみせてくれた。
日本プロ野球史上最年少の三冠王に輝いた"村神様"だが、日本シリーズの成績を見ると、2021年は23打数5安打1本塁打3打点 打率.217(6試合)、22年は26打数5安打1本塁打5打点 打率.192(7試合)。以上の通り、短期決戦ではなぜか結果を残せてこなかった。それでも、値千金のサヨナラ打を放ったことで「見えない壁」を破ったはずだ。
村上の打球がセンターを越え、ソフトバンク周東佑京外野手がサヨナラのホームを踏んだ瞬間、歓喜した日本ベンチは総出で村上を出迎えた。西武の山川穂高内野手は村上に対して満面の笑みで両手のペットボトルから水をぶちまけ、ヌートバーは村上を突き飛ばす手荒い祝福。この光景にはSNS上でも「仲良すぎ」「野球少年みたい」と祝福の嵐が沸き起こった。
日本中のプロ野球ファンに愛された侍ジャパンが、チーム一丸で明日の決勝を戦うこととなった。
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