【WBC・決勝】日本代表3-2アメリカ(3月21日・日本時間22日/ローンデポ・パーク)

 野球日本代表「侍ジャパン」が、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3大会・14年ぶり3度目の世界一に輝いた。最後のマウンドにいたのはエンゼルスの大谷翔平。そして最後のバッターとなったのがエンゼルスのチームメートでMVP 3度の“現役最強打者”マイク・トラウトというドラマチックな展開も注目を浴びたが、試合後に大谷本人も「2アウトランナーなしでトラウトというのが最高のシナリオだった」と語った。  

 今回のWBCで日本、アメリカともに歴代最強と言われるメンバーが集まったのは大谷、トラウトの存在が大きい。大谷はかねてよりWBCで世界一となるのが夢だと語り出場を熱望していたほか、ダルビッシュらにも声をかけ、最高のチームの地盤を作った。トラウトも、アメリカのWBC連覇のために早くからWBC参加を表明すると、他球団の選手にも声をかけ参加を促したと言われている。

 その2人はエンゼルスでともに主力を担うチームメート。出場が決まると、2021年のア・リーグMVPである大谷と、過去に3度MVPに輝いているトラウトとの“夢の対決”が実現するかが取り沙汰されることも多かった。しかし、一部で大谷が決勝ラウンド以降は登板しないと報じられたことで、決勝でぶつかる両者の初対決は難しい状況となっていた。

 ところが準決勝を迎えたところで大谷が決勝での登板を示唆。大谷の熱意に栗山英樹監督も応え、総力戦となった決勝で最後に大谷がマウンドに上がることになった。しかも大谷が登板した9回はアメリカは9番から始まる打順で、順当に行けば2番トラウトが3人目の打者として登場する巡り合わせ。期せずして大谷対トラウトが実現することになった。

 点差はわずか1点。ホームランバッターであるトラウトに1発が出れば、同点あるいは逆転という可能性もある。そんなヒリヒリするような展開だったが、試合後のインタビューで大谷は「2アウトとれば最後トラウトだなと思った」と意識したことを告白。最後の打者としてトラウトを迎えるには前の打者2人をアウトにする必要があったが、大谷は先頭打者に四球を与えてしまう。これについても「先頭を出しちゃったので、最後(2死ランナーなしでトラウトと勝負という)思った通りにできないかなと思ったけど、ゲッツーになってトラウトを最高の形で迎えることができて、最高の結果になった」と振り返っていた。

 見ていたファンも「最後の最後で初対決って熱すぎだろ」「最後まで展開が神がかってた。 最後が大谷対トラウトとか出来すぎやん…」「トラウトで三振ゲームセットはドラマチックすぎる」としびれたシーンだったが、大谷本人にとってもこれ以上ないシナリオだったようだ。
(C)Getty Images

【映像】侍ジャパン、劇的サヨナラの瞬間
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