女流棋士3人1組で戦う超早指し戦「女流ABEMAトーナメント2023」の決勝戦、チーム伊藤 対 チーム加藤 が3月25日に放送された。優勝チームのリーダー・伊藤沙恵女流三段(29)は、大会で5戦全勝と圧巻の成績を飾り「やりきった」と満足気な表情。個人戦、団体戦の両方で優勝と大会史上初の偉業を達成を静かに喜んだ。
団体戦2度目の開催となった今期は、上田初美女流四段(34)と香川愛生女流四段(29)の超強力メンバーを指名。ドラフト会議時点から、今期優勝にかける“本気度”を漂わせていた。1回戦では前回準優勝の西山朋佳女流三冠(27)率いるチーム西山と激突。リーダーの伊藤女流三段が初戦から登場して快勝を飾ると、一気に流れを引き寄せた。
チームの中では時には前に、時には一歩後方に立ち、個性豊かな上田女流四段、香川女流四段の力を発揮しやすい環境を整備。しかし、要所での対局を担えば必ず戦果を挙げてくるなど、名リーダーとしての活躍が光った。
決勝戦は、前回優勝の加藤桃子女流三段(28)率いるチーム加藤との対戦に。タイトル経験者として、堂々とした指し回しで連勝数を伸ばしていった。決着はフルセットの最終局。まるで準備されていたシナリオのように、全勝同士のリーダー対決に。最終決戦にふさわしいぎりぎりの攻防戦となったが、最後は伊藤女流三段の持ち味でもある玉捌きが光り、勝負あり。147手で勝利しチームの優勝を決めると、「涙は出ないですね。今はやりきったなっていう感じです」とホッとした表情を浮かべていた。
この結果、伊藤女流三段は個人戦として開催された第1回女流ABEMAトーナメント初代女王の栄冠に加えて、団体戦優勝の称号も獲得。早指しの絶対女王として大会史上にその名を刻んだ。個人としても今大会では5戦全勝。「いろんなものを削って戦ってきた。チームメイトも内容の良い将棋が多く、見ていて刺激になったので、それが良い形になったんだと思う」と喜びを噛みしめた。
新年度の4月26日に開幕する女流王位戦でも挑戦権を獲得した伊藤女流三段とあり、ファンも安定感抜群の指し回しに大注目。「さえリーダーかっこいい!」「おめでとう」「お疲れ様でした」と多くの祝福コメントが寄せられていた。
◆女流ABEMAトーナメント 第1回大会は個人戦、第2回大会から団体戦になった。第3回の「2023」は4人のリーダーがドラフトで2人ずつ指名、3人1組のチームを結成し、トーナメントで優勝を争う。持ち時間は5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は5本先取の9本勝負で行われ、第5局までに必ず全員が1局以上指さなくてはならない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)