女流棋士3人1組で戦う超早指し戦「女流ABEMAトーナメント2023」の決勝戦が3月25日に放送された。チーム伊藤とチーム加藤による決勝戦は、意地と意地がぶつかり合い、千日手を含むフルセットにもつれる大接戦を展開。最後はリーダーの伊藤沙恵女流三段（29）が勝負を決め、チーム伊藤が優勝を飾った。最強メンバーと目された上田初美女流四段（34）と香川愛生女流四段（29）と最高の結果を残した伊藤女流三段は、「みんないろんなものを削って戦った結果」と大会を総括した。
勝ちに“不思議”なし。圧巻のチーム力で、チーム伊藤が堂々の優勝を飾った。決勝戦では、加藤桃子女流三段（28）率いるチーム加藤と激突。連覇がかかる強敵が相手ながら、上田女流四段、香川女流四段が連勝を飾りスタートダッシュに成功した。4局目までに伊藤女流三段も白星を飾り、3勝1敗。このまま快勝押し切るかと思われた第5局から、やや暗雲が立ち込めた。
香川女流四段は、相手の渡部愛女流三段と3度の“マナマナ対決”に2勝1敗。上田女流四段も、敵将の加藤女流三段と千日手指し直しの激戦で必死の粘りを見せたが、星は加藤女流三段の元へ。8局目までに同星に並ばれ、運命は最終局のリーダー対決に委ねられることになった。
この一勝だけは絶対に譲れない。その思いは伊藤女流三段、加藤女流三段にとっても同じ。意地と意地がぶつかり合い、どちらも一歩も引かぬ大激戦に、控室からは「うわー！うわー！」の悲鳴が上がる場面もあった。互いに技を繰り出し必死の攻防戦を繰り広げたが、最後は華麗な玉捌きで加藤女流三段の猛攻を逃げ切った伊藤女流三段が勝利。「出るからには優勝を狙っていきたいなと思っていたので気合は入れてきたんですけど、本当に優勝というのが形になると嬉しいものですね」と喜びを噛みしめていた。
個人で5戦全勝と、リーダーとしてチームを優勝に導いた伊藤女流三段ながら「みんないろんなものを削って戦ってきた。皆さんやり切って下さった」とチームメイトの上田女流四段、香川女流四段に感謝の言葉を寄せる場面も。「昔から知っている仲なので、言いたいことを言い合って楽しかったです」と短いながらも濃密な激闘を振り返った。「涙はありません」と言い切った最強のチーム。この戦果と絆を糧に、今後より一層の輝きを見せてくれることに違いない。
◆女流ABEMAトーナメント 第1回大会は個人戦、第2回大会から団体戦になった。第3回の「2023」は4人のリーダーがドラフトで2人ずつ指名、3人1組のチームを結成し、トーナメントで優勝を争う。持ち時間は5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は5本先取の9本勝負で行われ、第5局までに必ず全員が1局以上指さなくてはならない。
（ABEMA／将棋チャンネルより）
