鎌田美礼女流2級「どんどん強くなっていけるように」プロ2年目を迎える新年度への静かなる決意 14歳の現在地
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 百花繚乱とも例えられる女流棋界に、またひとつ可憐な花が開いた。その名は、鎌田美礼女流2級(14)。2022年5月にプロデビューを飾ったばかりの新人女流棋士だ。中学生活との両立と多忙な生活を送っているため、その素顔はベールに包まれている。まだ公式戦での対局数は多くないものの、「どんどん強くなっていけるように頑張りたい」と語る。まもなく迎える新年度を前に、14歳の“今”を聞いた。

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 将棋を始めたのは6歳の時。勝った時の楽しさからあっという間にのめり込み、小3頃に石田和雄九段(75)が師範を務める千葉県柏市の柏将棋センターへ通うようになった。小4で研修会入り。以降着実にステップを踏み、2022年4月に研修会B2への昇級を決め、5月に女流2級としてプロ入りを果たした。

 関東の名門・石田門下には、タイトル経験者の高見泰地七段(29)、順位戦A級への昇級を決めた佐々木勇気八段(28)ら現在の将棋界をけん引するトップ棋士がズラリ。「石田先生はいつも優しいです。おじいちゃんのような存在?…かもしれないです。兄弟子も、たまに会う機会があると必ず声をかけてくれます」。一門での女流棋士誕生は2人目。「(姉弟子の)加藤結李愛(女流初段)さんと一番よくお話します」。信頼する師匠、同門の先輩棋士たちに支えられながら、徐々にプロとして活動の幅を増やしている。

 尊敬する棋士は、師匠の石田九段。女流棋士には、関西所属で藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)の姉弟子でもある室田伊緒女流二段(33)の名前を挙げた。茨城県取手市出身で関東所属の鎌田女流2級と室田女流二段に接点は少ないように思えるが、師匠の出身地でもある愛知県岡崎市での『岡崎将棋まつり』にともに出演し、「その時にお話しして、優しくしてくださって素敵だなと思いました」と憧れを抱いたという。

 この春から中学3年生に進級、5月には女流棋士としての生活も2年目に突入する。居飛車党ながら、「攻め将棋とも言われるし最近は受け将棋とも言われるので、自分の棋風はよくわからないです」。この1年で最も印象に残っているのは、昨年5月に中倉宏美女流二段と対戦したデビュー戦で、「緊張しすぎて、何も覚えていないことが逆に印象に残っています(笑)。でも、始まってからは集中して指せたと思います」。門出は黒星スタートとなったが、「今は少しづつ慣れてきました」と本来の落ち着きを取り戻し、これまでに6勝7敗の成績を残している。

 セーラー服姿はまだまだあどけなさを残しているが、女流棋士として棋譜や成績を求められるプロとしての顔も求められる。学校生活を送る上で、女流棋士としての活動を行っていることは「自分からは言わない」といい、「学校の勉強と将棋の勉強を両立させるのが体力的にきついです」と素直に苦労も口にしていた。わずかな息抜きは、スマホでの音楽ゲームと好きなグミのお菓子を食べること。「フィッシュゼラチンのグミが好きなんです。融点が少し低いんので口の中でとろけるんです。その感覚が好きです」とフフッと柔らかな笑みを浮かべた。

 一方、苦手なものは遊園地の絶叫系アトラクションに、食べ物ではキノコ。将棋界できのこ嫌いと言えば、真っ先に浮かぶのは若き六冠保持者の藤井竜王だが、「知らなかったです」ときょとんとした表情。「見た目が苦手なんです。唯一食べられるのはなめこですけど、好きではないです…」とこちらは苦笑いを浮かべていた。

 夢の道をかけ出したばかりの中学生女流棋士とあり、明確な目標地点は描いていない。しかし、決して目標を持っていないのではなく、簡単に口に出せるものではないからなのだろう。「どんどん強くなっていけるように頑張りたい」。小さな声ながらはっきりと、大きな目を輝かせて語った静かなる決意。その行く先が輝く未来であることは、鎌田女流2級だけが知っている。
ABEMA/将棋チャンネルより)

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