女流棋界が誇る「マナ」同士の三番勝負が白熱した。女流棋士3人1組で戦う超早指し戦「女流ABEMAトーナメント2023」の決勝が3月25日に放送された。チーム伊藤・香川愛生女流四段(29)とチーム加藤は渡部愛女流三段(29)は、同学年かつどちらも名前に「マナオ」「マナ」と「マナ」が入る者同士。この2人が決勝の舞台で3度も対戦した。どちらのマナが強いかを決めるような“マナマナ対決”三番勝負は、渡部女流三段が2勝1敗。「自分の力を出し切れました」と、激闘を振り返った。
香川女流四段は1993年4月生まれでタイトル2期、渡部女流三段は1993年6月生まれでタイトル1期。里見香奈女流五冠(31)、西山朋佳女流三冠(27)の2人で8つのタイトルを占める中、挑戦者としていつ名乗りを上げてもおかしくないトップ集団に入っている。公式戦でもぶつかるが、イベントなどの仕事で一緒になることも多く、淀みないトークでMCを務める香川女流四段、明るい性格と天然ぶりがウケる渡部女流三段、どちらのマナも人気者だ。
優勝を争う戦いで、まずぶつかったのは第2局。渡部女流三段が居飛車、香川女流四段が三間飛車の対抗形で始まると、激しい玉頭戦から持ち時間がなくなったところでも慌てずに指し回した香川女流四段が抜け出し勝利した。次の対戦は第5局。両チームとも、いろいろとオーダーに考えを巡らせたものの、結果的には再戦となった。先後が入れ替わると、今度は香川女流四段が中飛車を採用。渡部女流三段は居飛車で、どちらも穴熊にがっちり囲いあった。どちらも経験十分な戦型ともあって、第2局同様に熱戦に。今度は終盤、鋭い手が続いた渡部女流三段がうまく攻めをつなぐと、そのリードを守り切った。
そして第7局。今度こそ別の相手と当たるだろうと思っていたところだが、考えれば考えるほど両チームのオーダーは導かれるように“マナマナ対決”へ。出場者が告げられると、どちらの控室からも驚きや笑いの声が漏れた。「最強マナ決定戦」とも言うべき3局目は先手・香川女流四段が四間飛車から向かい飛車に移行、渡部女流三段は前局同様に居飛車穴熊を用いた。序盤から積極的に仕掛けたのは香川女流四段。これに渡部女流三段がうまく対応した。形勢不明のまま展開が進むものの、最後の最後で集中力を持続できたのは渡部女流三段。勝利した後も「難しすぎてわからなかったです」と苦笑いしつつも「自分の力を出し切れました」と熱戦を演じられたことへの充実感をにじませていた。
◆女流ABEMAトーナメント 第1回大会は個人戦、第2回大会から団体戦になった。第3回の「2023」は4人のリーダーがドラフトで2人ずつ指名、3人1組のチームを結成し、トーナメントで優勝を争う。持ち時間は5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は5本先取の9本勝負で行われ、第5局までに必ず全員が1局以上指さなくてはならない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)