羽生善治九段、フィッシャールールの戦い「慣れた人も増えて洗練されてきた」「日によって出来不出来の波が結構ある」/将棋・ABEMAトーナメント
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 自らの着想をもとに作られた大会も早6回目。超早指しという局地戦に、棋界のレジェンドはどう向き合うか。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が4月1日に放送される。羽生善治九段(52)は今年もリーダーとして大会に参加する。持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算というフィッシャールールの戦いも「このルールに慣れてきている人も非常に増えて、洗練されてきているところもあります」と、内容も年々高まっていると実感する。自身が参加したドラフトでは過去2回、同じメンバーを指名したが、今年はどんな仲間と超早指しに向き合うか。

【映像】新チームをほのめかす羽生善治九段

 個人戦としてスタートした同大会。第1回は羽生九段の名前もサブタイトルに入り、じっくり考える暇もなく、反射的に指せる若手が有利と思われていたが対局数、棋士それぞれの経験値が高まるに連れ、このルールに向いた戦型も模索され、また他の将棋にはない持ち時間が増えるという特徴を活かした指し方も出てきた。「特に若い世代の人たちは、日常の練習でもそのルールでやっている人も多いと聞きますので、全体的なレベルは上がってきていると思います」。伸び盛りの若手が修練の場としてフィッシャールールを用いてるとなれば、そこには当然、最新の研究を試すことにもなり、内容も高まっていく。

 もちろん超早指しとなれば、スポーツに近い感覚がついてくる。「安定したパフォーマンスを出すのが難しいルールですよね。出場している全ての棋士を見て感じることですが、結構日によって波があるんです」。長時間の対局が大半の将棋では、それに耐えるスタミナも必要だが、1日の中で体調をコントロールできることもあり、比較的安定して実力を出せることも多い。ところが約20分で終わってしまう将棋には、冴えた日・冴えない日の影響がもろに出る。前者ならいいが、後者であれば頭の整理がつく前に将棋が終わってしまう。これは個人戦だった第1回、第2回、団体戦となった第3回、第4回と4連覇した藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)とて同じことだ。

 見た目にはスリリング、指している本人たちには厳しいルールの合間には、ファンを楽しませるチーム動画もある。昨年、羽生九段はインドアスカイダイビングに挑戦、将棋界のレジェンドが宙を舞ったと大いに盛り上がった。「自分からはなかなか経験することではなかったので」と思い出し笑いをしたが、気心知れたメンバーとの時間は楽しかったようだ。

 今年はどうやらメンバーを一新して臨む構想らしい。「何人かは考えて来ているんですが、ドラフトなんでどういう形になるのか。くじ引きですか?したことはないですが、今年はあるかもしれないと思っています」と、他のリーダーとの競合も予感している。

 将棋自体の楽しさ、将棋を指す人々の魅力を様々な形で伝えている羽生九段。今年は盤上で、盤外でどんなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。

◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
ABEMA/将棋チャンネルより)

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