東日本大震災から12年。福島から岩手の海岸800キロを歩いて見た、元岩手県議が語る被災地復興までの道のり。
元岩手県議で雨風太陽 代表取締役の高橋博之氏が、大震災から12年経った被災地の“今”を語った。
「福島の富岡町や双葉町に2・3月と行ってきた。東日本大震災から12年経って、復興も一段落したと世間は思うかもしれないが、福島の浜通りはこれから始まる」(高橋氏、以下同)
「例えば、双葉町は2022年の秋に11年半ぶりに役場が戻ってきた。双葉町の住民5000人は今、40都道府県で離散生活をしていて、帰ってきたのが60人だけ。まさに、今から復興が始まる地域が被災地にもあることを知っていただきたい。生活していくために必要なコンビニやスーパーもまだないので、どうやって生活をしていくかなど生活再建が始まる」
12年経った今でも被災地に足を運ぶ理由と経緯を明かしている。
「僕自身岩手県出身なので、被災地に入ってボランティア活動をした。当時、議員をやっていたのでその立場からも関わった。最終的に知事選に立候補して落選したが、今度は政治から事業に手段を変えて、引き続き復興に取り組むことでずっと関わってきた。これからどう変わっていくのか、興味・関心や見届ける責任があると思うから毎年通っている」
被災地の沿岸部数百キロを歩いた、と聞いたが。
「震災から10年目の節目には、岩手・宮城・福島の800キロくらいある沿岸部を、1カ月かけて歩いた」
高橋氏が運営している、消費者が生産者から商品を直接購入できる「ポケットマルシェ」。この事業も東日本大震災と関わりがあるという。
「3.11がなければ、ポケットマルシェという事業はなかった。都市と地方の分断に課題意識があったが、震災当時、多くの都市住民がボランティアで縁もゆかりもないのに来てくれた。被災者も自分たちの力だけで立ち上がることはできなかったけど、都市住民からいろいろ応援されて、人手やノウハウ、スキルやネットワークを惜しみなく与えてもらい、課題解決力を上げられた」
反対に都市住民が得たものは。
「助けに来たはずの都市住民も被災地で『元気をもらって帰った』と話されている方々がたくさんいて、都市では得られない生きがい・やりがいを東北の被災地から得て、お互いのためになっている。まさに都市と地方の分断が解消されているなと感じた」
都市と地方の分断化解消を日常化するために、「ポケットマルシェ」を始めたという。
「日常からやっていくにはどうすればいいのか考えた時に、『食べ物だ』と。作る人が地方にいて食べる人が都市にいるので、生産者と消費者を直接つないだら、『日常からそういう化学変化が起きるようになるのではないか』と思い事業を初めた」
震災から12年。毎年被災地を訪れている高橋氏、今後の復興に向けた思いを明かしている。
「岩手・宮城・福島はそれぞれ状況が違う。そして、震災から12年経ち、東京などでは何事もなかったかのように24時間電気がついていて、いつでも好きなものが手に入れられる、快適で便利な生活を我々は享受している。こういう生活を享受している一人ひとりが、12年前に起こったことに関して責任がある。何もなかったことにならないと思うので、福島の沿岸部にぜひ足を運んでもらって、これから街づくりをする人たちの心に触れて欲しい。彼らは失ったからこそ気づいたことがあって、それをこれから取り戻しに行こうとしている」
今、私たちにできることとは。
「実は、全国各地の地方がこれからまさに失われようとしているものがある。しかしまだ失っていないので気づいてない。それに気がつくことで、自分たちの日々の行動に繋げていってほしい。当たり前のことこそ、本当に失わないと気づかない。失った人が日本にいるので、そこに関わってほしい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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