2期目に突入した森保ジャパンは、ウルグアイ戦では引き分け、コロンビア戦では先制するも逆転負けという結果に終わった。新たにボールを保持する戦術に挑戦したものの前に上手く運べないシーンが多く、手詰まり感のある攻撃に終始した。ただポジティブな話題も少なからず生まれている。新戦力の躍動やワールドカップ組のさらなる進化だ。今回の代表活動で評価を上げたであろう選手の活躍を振り返る。
(市場価値は『transfermarkt』を参照。1ユーロ=140円で計算)
トップ下で存在感、第二次森保ジャパン初ゴールを挙げた西村拓真
西村拓真は海外組を含めたフル代表は今回が初めての招集だったが、物怖じせずに横浜F・マリノスで見せている自身の良さである献身性やゴールへの積極性を存分に発揮した。ウルグアイ戦では投入直後に同点ゴール決めると、続くコロンビア戦では先発に抜擢。ゴールはなかったものの惜しいシュートを放ち存在感を示した。
トップ下気味にポジションを取りながらゴールを量産できる西村のようなタイプは日本では珍しい。同じトップ下でも組み立てに参加する久保建英とは異なるタイプであるため、上手く使い分けができそうである。市場価値は去年から上昇傾向にあり、現在100万ユーロ(約1.4億円)だ。2019年6月に記録した自身の最高市場価値である120万ユーロ(約1.7億円)の更新が現実味を帯びてきており、今後の活躍にもますます期待がかかる。
ウルグアイ戦は欠場もコロンビア戦で流石の存在感を見せた久保建英
久保建英は来季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)権を争う名門レアル・ソシエダで絶対的な主力として活躍しており、市場価値1500万ユーロ(約21億円)にまで達している。そんな新時代の旗頭は、コロナウイルスの陰性証明ができなかった影響によりウルグアイ戦は欠場、コロンビア戦も途中出場だった。本人はやる気に満ちていただけに、非常に悔しい結果に終わったようだ。
それでも自身が「コンディションはトップ3に入る」と語っていた通り、強度の高いハイプレスでチームを押し上げるとともに、狭いスペースにボールを何度も引き出して積極的に仕掛けチャンスを演出した。自信に満ち溢れていながらも周りを見失わない姿には頼もしさも感じられる。これから間違いなく代表の中心として躍動していくことだろう。
左右のウイングとして攻撃を牽引した伊東純也(MOM)
伊東純也は相変わらずの「イナズマ純也」ぶりを発揮していた。ウルグアイ戦では途中出場からクロスで同点ゴールをアシストするなど、右サイドからチャンスを何度も演出して存在感を発揮。コロンビア戦でも試合途中に右ウイングから本職ではない左ウイングにポジションを変更するも、全くその影響を感じさせないパフォーマンスで、ポリバレント性を見せつけた。
伊東は日本代表で随一の突破力はもちろん、相手選手の死角からボールを奪う守備でもチームに大きく貢献。右サイドでコンビを組む菅原由勢とのコンビネーションも既にぎこちなさはなく、良いコンビになりそうな予感だ。三十路を迎えても市場価値は上昇を続け、1000万ユーロ(約14億円)に。まだまだサムライブルーには欠かすことのできない絶対的主力である。
右サイドバックに新たなオプションとなった菅原由勢(MIP)
着実にオランダで実績を積み重ねる菅原由勢は、市場価値を600万ユーロ(約8.4億円)まで上昇させている。ステップアップの時が近づいてきている注目株は、ウルグアイ戦では89分の出場、コロンビア戦ではフル出場と右サイドバックで2試合通してほぼフル出場を果たした。
右サイドで主にコンビを組んだ伊東が大外に張るポジショニングを好むため、普段のプレーエリアよりは内側でプレーすることとなったが、内側からウイングを追い越す動きや後方から裏へのパスで見事に対応した。課題の守備はファールが多かったものの、集中力は切らさず粘り強いディフェンスを見せていた。コロンビア戦の1失点目のような判断ミスも、これから守備陣の連係を深めればなくなるだろう。
菅原は今まで代表にいなかった選手とは考えられないほど自然にサムライブルーのイレブンに溶け込み、アピールに大成功した。今回の活躍を考えれば、そのまま右サイドバックのレギュラーに収まりそうである。まだ22歳と若いため伸びしろも十分な菅原には、これからのさらなる成長に期待したい。
(C)浦正弘(ABEMA/キリンチャレンジカップ2023)