頼もしい2人を獲得できて、自虐ネタがお得意のリーダーも思わずご満悦だ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が4月1日に放送された。山崎隆之八段(42)は1巡目に初の順位戦A級入りを決めたばかりの中村太地八段(34)を単独指名、2巡目には重複指名ながらくじ引きを制して佐々木大地七段(27)を獲得した。「中村八段は本当に全ての面で頼りになる存在。佐々木七段は確実に強い方なので(2巡目に)残っていてラッキー。すごく強いチームになるし、名前も似ていてパワーもある」と、もうニコニコだ。太地と大地。その名前から、地球の力も感じさせるような2人を手に入れた山崎八段は、普段よりはるかに強気だ。
昨年は同世代でチームを組んだものの、あえなく予選敗退に終わった山崎八段。今年のドラフトはとにかくぎりぎりまで悩み、瞬時に切り替えたことが大成功につながった。会議本番、最初のあいさつで羽生善治九段(52)が昨年までとはチーム構成を変更することを示唆。前回、前々回と中村八段はチーム羽生だった。「(羽生九段のコメントは)ものすごく大きかったです。ぎりぎりまで1巡目指名は迷っていました」と、テレビ番組でも長く共演した中村八段の名前を慌てて書いた。棋力はもちろん、チームを作る上でも心配事がまるでないという人格者。単独指名で獲得できたことで、ぐっと視界が開けた。
続く2巡目も、悩みに悩み佐々木七段に決めた。「ぎりぎりまでは違う方を書いていて、あと数秒で書き直しました」と腹をくくると、佐藤天彦九段(34)と指名がかぶった。佐藤九段が先に引き、のこりくじに期待をかけると、見事に当たりのマーク。思わずその場でジャンプして喜んだ。公式戦の好成績に比べれば、ABEMAトーナメントでは少々苦戦している雰囲気もあるが、うまく試合の日に調子が整えば破竹の連勝をしてもまるで不思議はない力を持っている。
変幻自在の指し回しをする自分に、鋭い攻めの中村八段、師匠譲りの粘りが持ち味の佐々木七段。全員居飛車党ながら、それぞれ違う色を持った棋士が揃った。うまくハマれば上位進出、さらには優勝争いを繰り広げてもおかしくない。なお、周囲からはおもしろいチーム動画も期待されている。チーム糸谷のメンバーだった時にはバンジージャンプにゲテモノ食い、リーダーだった昨年は足つぼマッサージで悶絶した。ドラフト会議が行われた際は、まだ順位戦の真っ最中で中村八段のA級入りなるかという微妙なタイミングだったが、見事に昇級決定。「中村太地さんの成績で、過激さは変わってくるのかなと思っています」と語っていただけに、動画から全力で来るはずだ。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)