今年のテーマは楽しさ全開だ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が4月1日に放送された。振り飛車党のエース菅井竜也八段(30)は1巡目に同じ振り飛車党の船江恒平六段(35)、2巡目にも同じく振り飛車党の西川和宏六段(36)を指名した。今年は若手の勢いがある棋士に指名が集まったが、菅井八段は完全に独自路線。「総合的に見たらめちゃめちゃ弱い」と笑いつつ「自分が勝つのが絶対条件なので、頑張りまーす!」と、とにかく明るかった。
各リーダーがそれぞれの色を明確に出せるようになってきたドラフト会議。今年の菅井八段は、とにかく楽しそうだった。1巡目、同門の兄弟子・船江六段を指名すると「船江恒平、もう最高!もう井上慶太先生(九段)の勝負手もあったんですけど、やっぱり船江さんで」と舌も滑らか。「将棋は終盤がすごく強い方なので、力を発揮してくれるかなと思います」と期待した。続いての指名は西川六段。「一番人間性が優れている。本当に振り飛車がうまくて、尊敬してる一人なので指名しました」と、人柄のよさも強調した。
実績、直近の内容などを見比べれば、確かに他のチームに劣る部分は少なくない。それでも菅井八段は、ずっと前向きだ。「自分の好きな先輩棋士を指名しようと思っていたので、成績などは参考にしていません。目標?とりあえず1回戦突破ですね(笑)」と、笑顔が止まらない。勝負に徹するチームもあれば、一緒に過ごす時間を盤上・盤外で充実させたいというチームもある。控室の雰囲気なども、まるで違うところにこの大会のおもしろさがある。仲良しが集まった3人、きっといたるところに笑顔が溢れている。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)