回転寿司などの低価格の店や高級店とは一線を画す“中価格帯の寿司店”が人気を集めている。
【映像】フィルムを外すといくらやとろろがこぼれる「マウント寿司」!
老若男女問わず、国民に愛される日本の伝統食「寿司」。一皿100円台から楽しめる格安の回転寿司チェーンに人気が集まるいっぽう、一人数万円の超高級店では予約が取れない現象も起きていて、“価格の二極化”が進んでいる。
背景にあるのは、客単価5000円前後という中価格帯を担ってきた“まちのお寿司屋さん”の減少だった。
「跡を継ぐのがいない。おそらくもっと減っていくのではないかと思う」
68年にわたって地元の人に愛されている小田原にある「千両寿司」の大将・原陽一さんによると、店主の高齢化と後継ぎ不足は深刻だと話す。こうしたなか、空白地帯となった中価格帯を狙った寿司店が次々とオープンし、人気を集めている。
「美味しいのは当たり前なんですけど、見た目でも楽しませてくれるのはすごい」(利用客)
人気を集める理由は、斬新なネタの組み合わせや“映える”見た目。さらに、こうした寿司をつまみに酒が飲めることにあるという。
中価格帯の波は高級寿司店が立ち並ぶ銀座にも。ニューヨークなど世界中で店舗を構え、そのうち2つの店がミシュランガイドの星を獲得している高級寿司店「鮨 銀座おのでら」が、去年4月に中価格帯の寿司店として「鮨 銀座おのでら 登龍門」をオープンした。
「ネタは本店と同じものを使用しています」(鮨 銀座おのでら 登龍門の職人・小林航大さん)
1人3万円という本店と同じネタを6000円程度で楽しめる驚きの価格設定。本店で食べれば2200円するという本マグロの中トロは、このお店で食べればなんと660円だ。
なぜ“超高級寿司”を安く提供できるのか。それは、『立ち食い』というお店のスタイルにあるそうだ。さらに、最大の理由が「登龍門」で鮨を握るのは、本店ではお客さんに握ることを許されていない若手職人だということ。“勉強料”として、価格をリーズナブルに抑えている。
若手職人たちを鍛える場。登竜門について「鮨 銀座おのでら」の統括総料理長・坂上暁史さんはこう話す。
「先の長い目標だと辞めてしまう子も多い。早く(鮨握りに)携わらせてあげながら修行も同時にやっていく。コンセプトは『お客様に育てていただく場所』だ。
一番怖いのはお客さまのリアルな空気感。そこではじめて緊張感が生まれて一番心に響く。彼らが活躍したい場所で活躍できるための下支えをしてやれるような環境にしたい」
こうした中価格帯のニーズについて、『ABEMAヒルズ』に出演したニュース解説YouTuberで「The HEADLINE」編集長の石田健氏は「中価格帯というよりは、高級店をちょっと安くしたイメージが近い」と分析する。
「寿司はいま都内で非常に高い。客単価で4~5万円するような店にはなかなか行けない。さらに、どんどん値上りして寿司マーケット全体が高級化していくと、食べられる人も減る一方だ。マーケットは育てていかなければならないので、こういう“セカンドライン”というか、価格の安いラインを作ってブランドを育てていく戦略が出てきた。空白になっていたところを狙ったことからも元々ニーズはあったのだろう。
価格を決めるときに面白いのは、基本的には寿司マーケットで戦っているわけではなく、『外食マーケット』と戦っているのではないかということだ。外食マーケットが高くなれば巻き込まれて高くなるという現象は起こりやすい。寿司の値段から原価を引いて、どのくらいの利益を乗せるか。『どうすれば財布の紐を取れるのか』というところが重要な視点だ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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