実は店舗数「減少」 大手チェーンは地方の救世主? それとも脅威? 地元民の“本音”と意外な“功罪”
【映像】チェーン“なし”で再興した油津商店街
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 今年3月、千葉県内で25年ぶりとなるJRの新駅「幕張豊砂」が誕生。同駅は、東京ドーム4個分以上の敷地を持つイオンの目の前に作られた、いわば“イオンのために作られた駅”。

【映像】チェーン“なし”で再興した油津商店街

 このように大型チェーンの出店で地域の活性化を狙うことは多い。2015年、鳥取県に初めてスターバックスコーヒーが誕生した際には、約1000人が開店を待つ盛況ぶりに。また、新潟県初の「3COINS」や沖縄県初の「鳥貴族」など、チェーンの出店で大盛り上がりするのは、地方あるあるともいえる現象だ。

 一方、ネット上には、「どこに行っても同じ店ばかりでつまらない」「地元は大手ショッピングモールが来たけど、撤退して買い物できるところがなくなってしまった」といった否定的な声もあがる。

 こうしたなか、チェーン店に頼らないやり方で活性化させたのが、新海誠監督の映画「すずめの戸締まり」の聖地として注目される宮崎県日南市。

 一時はさびれたシャッター通りだった油津商店街は、大手チェーン店に頼らない手法で4年間で29店舗の誘致を実現させた。

 果たして、チェーン店は地域にとって救世主なのか? それとも地域を壊す存在なのか? 11日の『ABEMA Prime』では、専門家を交え地方出身のコメンテーターと議論した。

■全国チェーンの功罪と『油津商店街』が成功できた理由とは?

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 油津商店街の企業誘致に携わった『九州地域間連携推進機構』代表の田鹿倫基氏は、「一番の理由は、チェーン店が進出してくれるほどの需要がなかったこと。彼らは周辺人口とか道路交通量などをみている。なので、自分たちでやらなくてはならないということで、一つひとつ再生していった」と背景を説明。

 「油津商店街の再活性事業の第1号となったABURATSU COFFEEは、ずっと地元の方がやってきた純喫茶を、シアトル風カフェっぽくリニューアルした。いろいろなチェーンのやり方を参考にしながら、地元が持っている資産をうまく活用して再生していった」と具体例を交えて解説した。

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 一方で、大手チェーンのメリットを評価するチェーンストア研究家の谷頭和希氏は、「実は商店街が駄目になってきたところに、ちょうどチェーンストアやコンビニエンスストア、ショッピングモールができたという歴史がある。つまり、商店街が提供していたサービスが、地元の人を満足させられない現状があり、そこにショッピングモールが登場してきた」と必ずしもチェーン店の進出=悪ではないと指摘した。

■実は店舗数減少? チェーン店の現状は

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 ただ、必ずしもチェーン店が伸長し続けているわけではない。実は増え続けてきたチェーン店の店舗数は2018年をピークに減少に転じている。

 この状況を田鹿氏は「同じ業種も多種多様にあるなかで飽和して、すでに淘汰が始まっている」と分析。

 そうしたなかで近年、チェーン店が独自の地域性を出していく展開もある。例えば、スターバックスコーヒーでは、2022年に47都道府限定のフラペチーノを発売して注目された。地域とうまくやっていく方法もありそうに見える。

 しかし、田鹿氏は「チェーン店で使われたお金の80%ぐらいは外に出ていってしまう。地元に残るのはそこで働いているアルバイトやパートの方の給料くらい。仕入れも全部地域外から、資本も全部都市部に持っていかれる。どれだけお金を使っても地域に再投資されることがないので、ずっとジリ貧モードに入っていく」とチェーン店の成功は、必ずしも地元の経済発展に寄与しない側面があると指摘する。

■地方出身コメンテーターからみた『チェーン店』の存在とは?

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 では、実際に大手チェーンを、地方出身者はどうみているのか?

 山梨県出身のギャルタレントのあおちゃんぺは「山梨にいる時はココイチにも行ったことがなかった。できたら爆上がりする。私の田舎思考では個人店のどこに需要あるのかなと。東京に憧れがあればあるほど、チェーン店はありかなと思う」と語った。

 山形出身の田中萌アナウンサーも「山形にいた頃は、カフェとかファストフードとか基本的に行くのはチェーン店。そこで友達とお喋りするのが大好きだった。個人商店はほとんど行かなかった」と語る。

 ここで福井出身の若新雄純氏(慶応大特任准教授)が、「これはCMとセットの話。プライムタイム、ゴールデンタイムにテレビを見ていると、大手チェーン店のCMが多い。地元の小さな商店だとテレビのCMは出せない」と、地方出身者のチェーン志向にある背景を解説。

 「例えば福井のド田舎でも、映るテレビ局は中心部と一緒だ。山奥で過ごした僕らほどテレビにかじりついていて、そこにモスバーガーやマクドナルドなどのCMが流れる。でもお店は近くにない。テレビとCMが日常生活を作り、都会の風景をドラマの世界で見て、実際にチェーン店が出店して来たときにワーッとなるのは当然だ」と述べた。

 大手チェーンへの“憧れ”が強いなかで地元の商店が勝つのは至難の業。若新氏は「みんな勘違いしている。おいしい店を出せば良いと思っても、知らない店にはお客さんは入らない。事前にみんなであそこはいいよと紹介し合えるネットワークコミュニティを先に作るのが大事だ。あの人に紹介してもらったから安心、という繋がりを作らないと売れない」と地方の実態を分析。

 そして、地方の構造的な課題と合わせて、活性化へ向けた“唯一の方法”を次のように提案した。

「駅前はどんどん空洞化する。結局、地方に行くと車社会なので郊外化するジレンマがあり、主要駅の駅前を商店街で盛り上げる方法はたった1つと言われている。主要駅の目の前を全部駐車場にする方法だ。

 でも今は難しい。駅前にはいろいろな個人のお店があるので駐車場を作れない。地方の主要駅はそもそも駅に車を停められない。すると、停められる方に分散し、駅前は登下校する中高生だけになって、クレープ店とタピオカ店が2年遅れでやってくるといった状況だ。

 全く新しい所を作るなら、まず車をしっかり停められるようにして、歩けるようなデザインにすべき。そこまで根気がないから大型ショッピングモールでいいやとなってしまうのだろう」(『ABEMA Prime』より)

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