4月9日に投票が行われた統一地方選挙の前半戦。道府県議選挙の結果、当選者中の女性割合は過去最高の14.0%となったものの低水準に留まっている。解決策はあるのか?
女性比率の増加について、東京都立大学・法学部准教授で政治学者の佐藤信氏は次のように見解を示している。
「女性比率は少しずつ増えてはいるが、未だに14%。政府が出している、第5次男女共同参画基本計画(2020年)では、候補者に占める女性の目標割合は2025年までに35%と設定されているが、候補者の女性比率も 15.6 %と遠く及ばない」(佐藤氏、以下同)
「実現している党派もあるが、多くの政党が35%に達していない状況になっている。当選率では男女でものすごく違いがあるわけではないが、候補者の比率が十分ではないことによってこういう状況になってしまっている。努力は足りているのかと思ってしまう」
続いて、道府県議選での女性候補者割合や当選率を党派別に分析。
“勝てる政党が女性候補者を立てず、女性を立てる政党は勝てない”という両方が合わさった結果、女性当選者が増えていないという。
「なぜ女性の方が低いのか考えるときに、党派は重要。自民党や公明党は今の国政における与党だが、この2つの政党を見ると男女の当選率はほぼ同じ。(自民党では女性候補者の当選率は87%。男性は88%)。男女どちらを出しても当選はする。しかし、候補者に占める女性の割合がそもそも低い。」
番組では党派別の数値を見ながら、その他の状況についても佐藤氏に聞いた。
また、地方選挙では、地方政党の役割にも注目すべきだという。新しく地方政党が台頭する地域では、急速に女性比率や多様性の向上が見られるケースがあるからだ。
そんな中、大阪で大勝した維新は特殊な状況にあると話している。
「女性の方が当選率が低く、さらに全体の候補者中の女性割合も低い。新陳代謝を図っている東京都などと比べると極めて低い水準にある。維新は若い人を取り込むという意味では新陳代謝を活性化させているが、女性の面においてはできていない」
維新が女性の面で新陳代謝の活性化ができてないのは、どういうところに表れているのか。
「維新が圧倒的に強い大阪の選挙区では、男性の候補者が多い。女性もそれなりに擁立されているが、大阪以外の選挙区。そのため、さきほど見たような男女の当選率の差も出てきてしまっている」
後半には特別区議や町村議選などがある。前後半で傾向に違いはあるのか。
「特別区は都会で、多様性も比較的進みやすい傾向があり、女性候補者の割合は改善されている。町村に関しては、他の議会と比べても女性候補者の割合は低く、女性を議会の中に取り込むことが難しくなっている」
その理由としては、深刻な成り手不足問題もあるという。
「保守的な農村部が多いことに加え、定員を埋められていない議会もたくさんある。今いる議員たち以外にやる人がおらず、お願いしてやってもらうような状況も発生している。すると、どうしても議員の男女比率が継続され、高齢化も進みやすくなる。町村レベルでは、兼業を認めたり開催時間を考えたりして、より多様な人たちに参加してもらえる環境を作ることが必要」
(『ABEMAヒルズ』より)
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