かつて「王道」とも言われた「職場結婚」。国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によると、職場や仕事で知り合ったとする割合がこの30年で約4割減ったことがわかった。
配偶者と「職場や仕事」で知り合った人の割合は、1990年代には全体の3分の1以上を占めていたが、2021年の調査では約2割にとどまっている。背景には職場結婚に対する若者の意識の変化もあるようだ。
「仕事と恋愛は別」(社会人3年目の男性)
「面倒くさいことになっても嫌なので避けたい」(新社会人の女性)
婚礼サービス会社「タメニー」の調査によると2017年度の新社会人で「社内恋愛をしてみたい」と回答した人は38.2%だったものの、2022年度の新卒を対象にした調査では32%に減少している。また、男性からは「職場の若い子を飲みに誘おうかと思ったけど、セクハラにならないか不安で誘えない」といった声も。
独身研究家の荒川和久氏は「1990年代の終わりごろ、日本で最初のセクハラ裁判の判決が出た。『下手に何かをして訴えられたら困る』となるから、社内結婚・職場結婚はそもそも論外になる」と話す。
かつては仲人を務めることも多かった上司が、部下のプライバシーに介入しなくなったことも職場結婚が減った要因の1つだという。
こうした社内結婚・職場結婚について、『ABEMAヒルズ』に出演した慶応義塾大学特任准教授の若新雄純氏は「『部分最適』を大事にするのか、『全体最適』を大事にするのかという話だろう」として考えを明かした。
「部分最適は、今回のケースに置き換えると『セクハラかもしれないから誘わない』ということ。お互い相手の気持ちがわかってないのに、好意を伝えたり誘ったりはやめましょうとなると、不快なことになる可能性が減る。個人個人で見ると最適かもしれない。しかし、日本は少子化が問題で社会全体としては子どもを増やすためにも結婚を推奨したいだろう。
いまは個人の自由や快適さを重視している。無理に人と深く付き合わなくても、個人としては楽な生活になっていくかもしれないが、社会としては子どもが減って国を支える力はなくなっていく。バランスが大切だ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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