マスク氏表明「TruthGPT」とは? 覇権争いで「倫理が置き去り」になる危険性も
【映像】生成AI覇権争いの行方は?
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 米起業家イーロン・マスク氏が新たに開発する人工知能「TruthGPT」とはどのようなものなのか? 生成AIの開発競争が激化することで生じるリスクとともに考える。

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 17日、出演したニュース番組で「宇宙の本質の理解に向けて、最大限の真実を追い求めるAI『TruthGPT』を始める」と述べたマスク氏。「遅いスタートだが“第3の選択肢”を作るつもりだ」として、テキスト生成AIとして去年サービスを始めた「ChatGPT」やGoogleの「Bard」に対抗する考えを示している。

 ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、“Twitterでわかりやすく最速でAI情報を発信する”起業家のチャエン氏をゲストに、コメンテーターの若新雄純氏が「TruthGPT」について考えを述べた。

■若新雄純「“Truth”というネーミングがすごい」

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――TruthGPT、若新さんはどのように見られますか?

若新:人間が解明しきれてない壮大なテーマに向かっていくんだと感じる。さすがイーロン・マスクだ。一方で、Truth(真実)という名前には「ほかの生成AIは間違っている。俺が作るAIこそが真実だ」という意味もあるのではないか。簡単に使っていい言葉なのかという疑問はある。

チャエン:多少のマーケティング要素は入っている名前だろう。インタビューでも具体的な話はなかった。(生成AIについては)いま、Microsoftが出資している「OpenAI」のChatGPTのほか、Googleの「Bard」などが出ていて、差別化として使った言葉ではないか。 “宇宙の本質”などのテーマが好きな人ならではの言葉遣いだろう。ほかの企業が営利活動に寄る中、全くかけ離れた次元で戦おうとしていると感じる。

――Googleなどは、元々AIの能力に対して危機感を覚えて制御していた時期もあると話しています。倫理面などの危惧があるなか、技術としては走りだしているということですか?

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若新:技術のスピードについては、パソコンが出てきたときもそうだが、カーブを描くような急激な成長速度だった。生成AIの学習能力、賢さみたいなものも同様に伸びていくのではないか。これに対して、人間の倫理観の進化は緩やかで少しずつアップデートされていくものだろう。しかし、覇権を争う企業やマスク氏は「倫理観が追いついていないので開発をゆっくりにしませんか」とは言えない。倫理は“後から追いつけばいい”という考えもあるのかもしれない。

チャエン:十分にありえる話だ。ダイナマイトが作られたときも、戦争で使われた。原子力も、先に技術ができてから倫理の問題に目を向けられた。新しいテクノロジーには負の面もあるということだろう。

――AIは使えば使うほど進化していくものとのことですが、いつの日か人間の能力を超えてしまう“臨界点”は訪れるのでしょうか。

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チャエン:もう超えているのではないか。「GPT4」については、様々なテストでアメリカの学生平均を超えているデータがある。単純な試験についてはすでに人間を超えていると考えられる。

――すでに人を凌駕しているのに、まだまだ学習し続けている。それこそ倫理・哲学の面で制御する必要があるのでは?

チャエン:世界的な事件が起きてから「じゃあ、制御しましょうか」となるかもしれない。日本は事前にゴールを決めて走りだすが、他の国はとりあえず走ってみる傾向がある。倫理観についての話はまだ時間がかかると思う。しかし、個人的にはそこまで恐怖感はない。AIの暴走で起こる最悪のケースは人間が殺されたり排斥されることだろうが、現状ではそういう心配はない。

(『ABEMAヒルズ』より)

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