破壊力満点の特大アーチや、スタンドをどよめかせるような“爆肩”ぶりを披露したかと思えば、同じような球を三球三振したり、怪我を押して出場し、怪我を重ねたりと、良くも悪くも“先の読めない怪人ぶり”を阪神時代から発揮し続けている北海道日本ハムファイターズの江越大賀。
【映像】球場ドン引き 骨折中の“爆肩バックホーム”
その類まれな身体能力はかねてより折り紙つきで、そこから生み出される特大アーチや華麗なダイビングキャッチ、俊足を飛ばしての長躯ホームインなどで、多くのファンを沸かせ、「本格的に覚醒すれば間違いなく主力」と、入団以来、期待され続けている逸材だ。
たとえば、阪神時代の2018年の秋季キャンプでは、二塁までの到達タイムが7秒とチームトップを叩き出し、現在も50メートル走は5秒台。遠投は120メートルの強肩を持つという。また、長打力に関しても、プロ入り前の段階で東部1部リーグ通算11本塁打を放つなど、既に折り紙つきであった。しかし、多くの阪神ファンが知るように、江越はそのプレイでしばしばファンを沸かせる一方で、打撃でのコンタクト能力の低さなどが課題となったままで、阪神では1年を通してスタメン起用され続けることはなく、これまでは一軍と二軍を往復するシーズンが続き、出場試合数もデビューイヤーの翌年にあたる2016年の72試合が最多で、以後、50試合未満の1軍公式試合への出場となっている。
さて、こうした経緯から、走攻守すべてが揃った「5ツールプレイヤー」から、打撃でのコンタクト能力を欠いた「4ツールプレイヤー」とも呼ばれることとなった江越だが、そうはいっても、その素材は折り紙つきなのだ。実際、その“素材としての面白み”と実直な人柄を買う形で、日本ハムの新庄剛志監督はトレードで獲得したと言われているが、その際に、自軍から長打力とユーティリティープレイヤーの性質を併せ持つ渡邉諒や、同じくユーティリティープレイヤータイプで、かつて阪神でプレイした髙濱卓也の弟である髙濱祐仁という、貴重な戦力を放出しているところを見ると、その期待値の高さが窺い知れるというものである(※なお、阪神からは江越とともに、荒削りながらも豪腕投手としての覚醒が期待されてきた齋藤友貴哉も移籍している)。
その身体能力や人柄だけを見れば、「原石」としての魅力は充分であり、それゆえに阪神も2014年のドラフト3位で獲得し、昨季までその本格覚醒に期待を寄せつつ、契約し続けていたわけだが、とはいえ、そんな江越は現在30歳。少なくとも「若手」といえる年齢ではなくなっている以上、「原石」としての賞味期限もさほど残されているわけではないというのが実情だ。それゆえのことなのか、今季、江越は開幕直前の3月に、右足親指に黴菌が入り、軽い蜂窩織炎で、スパイクを履くことさえままならなかったが、それでも短期間で持ち直して開幕に間に合わせると、いきなり好守を連発。
4月21日に放送された『バズ!パ・リーグ(ABEMA)』でも紹介されていたように、4月16日の西武戦(エスコンフィールドHOKKAIDO)では、アウトにすることはできなかったとはいえ、脅威の“爆肩バックホーム”を披露してスタンドを沸かせ、4月22日の楽天戦(楽天モバイルパーク)では、代走で起用されていきなり二塁への盗塁を決めたかと思えば、相手捕手のタッチを掻い潜っての“神ホームイン”でチームに貴重な追加点をもたらし、その裏の守備では、ライトフェンス直撃の鋭い打球を見事に処理し、打者走者の楽天・島内宏明を二塁タッチアウトに仕留めるという大活躍を見せた。
しかも、その翌日の4月23日の楽天戦(楽天モバイルパーク)では、大事な場面で犠牲フライを放ち、自身3年ぶりとなる打点を記録するなど、キラリと光るプレーを見せていることも事実。実際、4月24日終了時点で、20試合中16試合に出場していることを見れば、既に要所要所で起用される貴重な戦力となっていることが窺える。
しかも、こうした活躍ぶりを見せている一方で、前述の蜂窩織炎以降も、右手首と左あばら骨を相次いで骨折。しかもそれが明らかとなった4月16日の埼玉西武ライオンズ戦でも、打球を懸命に追いかけてフェンスに激突したかと思えば、走塁時に西武の呉念庭と接触するなど、試合に出場し続けていることが不思議なほどのアクシデントに見舞われ続けているが、そうした江越の姿を見たネット上のファンからは「走守で江越取り上げられて心の底から嬉しい」「1軍に残るんだ!結果を出すんだ!という強い思いがすごく伝わります」「常に全力プレーで熱い気持ちが伝わってくる」「さすが何年目になっても夢を見させてくれる男」「江越 日ハムに行っても 阪神ファンは皆 応援してるぞ!」といった称賛と期待の声が数多く寄せられている。
(ABEMA『バズ!パ・リーグ』)