見た目はほとんどサイドスロー魔球スイーパーをさらに曲げる大谷翔平、投手だけでも二刀流ピッチング

【MLB】エンゼルス8－7アスレチックス（4月27日・日本時間28日／アナハイム）

　打者と投手の二刀流で活躍するエンゼルス大谷翔平投手だが、どうやら投手でも咄嗟の判断で投げ方を大きく変える二刀流が可能な模様だ。大谷は「3番・投手」でスタメン出場し、今季6度目の先発マウンド。4回こそ乱調で2本塁打を浴び5失点したが、その他の5イニングはノーヒット。計6回を投げ3安打5失点8奪三振5四死球の内容で、今季4勝目を手に入れた。苦しんだ4回、最後に対戦した打者・ルイーズに対して投げ込んだのは、すっかり大谷の代名詞になったスイーパーだったが、5球連続で投げ込んだスイーパーの中でも、最後の1球は腕を横振りにして投げ込んだ「サイド・スイーパー」だった。

【映像】横振りから大きく曲げる「サイド・スイーパー」

　センス抜群の大谷は投手でも打者でも、いろいろと器用にこなす。なかなか思うように結果が出なければ、打席でもタイミングの取り方を変えたり、右足を上げてみたりと試行錯誤する。今季は投手として前日まで非の打ち所がない内容だったが、この試合では4回に急変。制球が定まらず、甘く入ったところを3ラン、2ランと2本の本塁打を浴びた。ただし、これをそのまま放置せず立て直せるのが、大谷の修正力。なんとか4回を切り抜けると5回、6回は再び序盤のようなピッチングで、アスレチックス打線を簡単に片付けた。

　修正の中でも実験が入るところも大谷らしい。とにかく慌ただしかった4回、同点に追いつかれてなおも2死一、三塁というピンチだったが、この場面で大谷はルイーズに対して“相棒”スイーパーを連投した。4球連続で投げ、カウント1-2と追い込んでからの5球目、明らかにそれまでとは違い腕を横振りにして投げる、いわば「サイド・スイーパー」といった感じで投げ込んだ。同一球種ながら、この1球は5球の中でももっとも垂直方向への落ち幅が小さく、かつ横に大きく曲がるスイーパーらしいスイーパー。この動きを実現したのも、咄嗟に横振りに変えた腕の動きがあったから。ボールに対して水平方向への成分を強めたことで、ルイーズもストライクゾーンを大きく外れたボール球に反応してしまい、あっさり空振りした。

　大谷が腕を下げて投げるのは、今季に始まったことではないが、これだけ極端に下げて投げ込むのは珍しいこと。投球フォームが違えば、相手打者に球種が悟られると懸念する専門家もいるが、大谷に関していえば「わかっていても打てない変化球」を投げようとするタイプだ。投げ方でわかっても、打てるものなら打ってみろ。そんな気概すら感じさせる、大谷の「投手二刀流」だった。
（ABEMA『SPORTSチャンネル』）