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 2024年のMLB(メジャーリーグベースボール/大リーグ)が、3月20日(日本時間3月20日)に韓国で行われる『MLBソウルシリーズ』で開幕しました。

 昨季44本塁打を放ちアジア人初となる本塁打王に加え、2度目のMVPに輝いた大谷翔平(おおたに しょうへい)選手が、オフにFAとなりロサンゼルス・エンゼルスからロサンゼルス・ドジャースに移籍。北米のプロスポーツ史上最高額となる10年総額7億ドル(約1015億円)の超大型契約を結び大きな注目を集めています。

 そんな注目のMLBについて本稿では、シーズンの概要やその魅力、さらにはMLBに所属する日本人選手を紹介していきます。

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目次

  • MLBとは?概要を説明
  • MLBの開催期間や試合数は?
  • シーズンの仕組みについて
  • MLBのルールについて
  • MLBの魅力は?
  • MLBに所属するチームについて
  • 日本人選手について
  • まとめ

MLBとは?概要を説明

 MLBは、アメリカとカナダに本拠地を置く30球団で構成されるプロ野球リーグです。正式な表記は「Major League Baseball」で、一般的にはその頭文字をとって「MLB」の略称が用いられています。日本ではMLBの他にメジャーリーグ大リーグなどと表記されることもあります。

 アメリカでMLBはアメリカンフットボールの「NFL」、バスケットボールの「NBA」、アイスホッケーの「NHL」とともにアメリカ4大プロスポーツのひとつとして数えられています。

MLBの開催期間や試合数は?

 MLBは例年3月後半から4月の前半にかけて開幕します。レギュラーシーズンは開幕後、9月末から10月初旬まで行われ、各チームが全162試合を戦います。その後にポストシーズンが開催され、10月末から11月初旬にワールドチャンピオンが決定し全日程が終了です。

 2024年のレギュラーシーズンは、3月20日(日本時間3月20日)に韓国で行われる『MLBソウルシリーズ』で開幕。同シリーズでは大谷選手や山本由伸(やまもと よしのぶ)選手を擁するドジャースと、ダルビッシュ有(だるびっしゅ ゆう)選手や松井裕樹(まつい ゆうき)選手を擁するサンディエゴ・パドレスが対戦しました。

 また、3月28日(日本時間3月29日)には全30球団が一斉に開幕を迎えました。

 なお、今シーズンは雨天などの順延がなければ9月29日(日本時間9月30日)に終了する予定となっています。日本時間4月24日時点で、ポストシーズンの日程は発表されていません。

シーズンの仕組みについて

 30球団がレギュラーシーズンの162試合を戦い、ポストシーズンに出場できるのは各地区の優勝チームと優勝チーム「以外」の勝率上位3チームとなり、両リーグ合計12チームです。

 ア・リーグとナ・リーグの各リーグごとにワイルドカードシリーズ(3戦2勝制)、デビジョンシリーズ(5戦3勝制)、リーグチャンピオンシップ(7戦4勝制)の順番に戦い、リーグチャンピオンを決定します。リーグチャンピオンチーム同士がワールドシリーズ(7戦4勝制)で戦い、勝利チームがワールドチャンピオンとなります。

 2024年シーズンの詳細な日程は発表されていませんが、例年10月頭から11月頭までの約1ヶ月間に渡ってポストシーズンが行われます。

 2023年シーズンはテキサス・レンジャーズがアリゾナ・ダイヤモンドバックスを下し、球団創設63年目で初のワールドチャンピオンに輝きました。

MLBのルールについて

 MLBとNPB(日本プロ野球)では細かいルールの違いがあります。まず、ア・リーグ、ナ・リーグの両リーグで指名打者制度(DH制度)が採用されています。両リーグで正式にDH制度が採用されたのは2022年です。それまでナ・リーグは新型コロナウイルスの影響で様々なレギュレーション変更がなされた2020年を除いて、一貫してDH制を採用していませんでした。

 WBCと同様に打者3人以上に投球するか、その回を完了させるまで投手交代することができないワンポイントリリーフの禁止も2020年シーズンから導入されています。

 2023年シーズンからはピッチクロック、極端な守備シフトの禁止、ベースの拡大が新たに加わりました。走者なしで15秒以内、走者ありの場合で20秒以内に投球動作を開始しなければいけないルールです。打者は残り8秒となるまでに構える必要があります。投手が違反した場合は1ボール、打者が違反した場合は1ストライクが宣告されます。

 なお、このピッチクロックは2024年からルール変更が行われ、走者ありの場合は18秒に短縮されています。

 2022年シーズンまでは極端な守備シフトが多く見られましたが、2023年シーズンからは二塁ベースを中心に左右2人ずつを配置しなければなりません。また、ベースは15インチ(約38センチ)から18インチ(約46センチ)へ拡大されました。これは接触プレーの危険を減少させるためです。

 試合に引き分けはなく決着がつくまで延長戦が行われます。延長戦にはタイブレークの制度が用いられており、10回から両チームともに無死二塁の状態から攻撃を始めます。

MLBの魅力は?

 2024年現在においてMLBは、野球のプロリーグとして世界トップのレベルを誇っています。そのため日本のプロ野球(NPB)で結果を残し、MLBへ挑戦する選手が多いです。
 
 大谷選手のようなトップクラスの選手たちのパワー、スピードは圧倒的なものがあります。一方で近年はフライボール革命の発達や投手のレベルアップにより、ホームランか三振かというように大味とも言われます。しかしニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手が2022年シーズンに本塁打を量産しア・リーグ記録の61本塁打を放ったことで大いに盛り上がりました。やはりファンにとってホームランの多さは魅力の1つと言えそうです。

 リーグ全体、そしてメジャーリーガー個々人のレベルが高いだけでなく、年俸も桁違いです。2023年シーズンにおけるMLBの平均年俸は、前年から7.1%上昇し、過去最高の452万5719ドル(約6億8000万円)でした。NPBは4470万円だったので6億円以上もの開きがあります。

 2024年シーズンからMLBでプレーするドジャースの山本選手は12年総額3億2500万ドル(約465億円)、シカゴ・カブスの今永昇太(いまなが しょうた)選手は4年総額5300万ドル(約76億8500万円)、パドレスの松井選手は5年総額4年5300万ドル(約76億8500万円)とNPBでは考えられないような金額で契約しています。また、FAとなった大谷選手はドジャースと北米のプロスポーツ史上最高額となる10年総額7億ドル(約1015億円)の超大型契約を結ぶなど選手にとっては年俸の高さも大きな魅力です。

MLBに所属するチームについて

 全30チームが所属しているMLBは、アメリカン・リーグ(ア・リーグ)とナショナル・リーグ(ナ・リーグ)の2リーグ制です。両リーグともに15チームずつで、それぞれ東、中、西と3地区(各5チーム)に分かれています。

 レギュラーシーズンではリーグ内の他地区やリーグを超えた戦いも行われます。ア・リーグのチームとナ・リーグのチームが対戦する試合のことは、インターリーグ(交流戦)と呼ばれています。2024年シーズンは、自チームを除く29チームとシーズンで少なくとも一度は顔を合わせる日程です。

 30球団で構成されるMLBの本拠地はアメリカが29、カナダが1です。菊池雄星(きくち ゆうせい)選手が所属するトロント・ブルージェイズが現在の30球団で唯一、カナダに本拠地を置いておりア・リーグ東地区に属しています。

 大谷選手が所属するドジャースはナ・リーグ西地区、ダルビッシュ選手のパドレスもナ・リーグ西地区になります。

アメリカン・リーグ

・東地区
ボルチモア・オリオールズ
ボストン・レッドソックス(吉田正尚選手)
ニューヨーク・ヤンキース
タンパベイ・レイズ
トロント・ブルージェイズ(菊池雄星選手)

 ヤンキースは、歴代最多となる27回のワールドチャンピオンに輝いている名門チームです。しかし2009年以降は世界一から遠ざかっており、21世紀に入ってからはヤンキースの2度に対してライバルであるレッドソックスが4度も世界一に輝いています。

 ア・リーグ東地区にはレッドソックスには吉田正尚(よしだ まさたか)選手、ブルージェイズには菊池選手が在籍しています。

・中地区

シカゴ・ホワイトソックス
クリーブランド・ガーディアンズ
デトロイト・タイガース(前田健太投手)
カンザスシティ・ロイヤルズ
ミネソタ・ツインズ 

 2021年シーズン終了後に、インディアンスがガーディアンズと名称を変更しました。名称変更1年目となった2022年シーズンにガーディアンズは、ホワイトソックスに11ゲーム差をつけて地区優勝を果たしています。

 2023年シーズンはタイガース、ガーディアンズ、ホワイトソックス、ロイヤルズの4チームは勝率5割を下回っており、2位のホワイトソックスも勝率5割ちょうど。貯金を作ったのが1チームだけだったのはア・リーグ中地区のみでした。

 なお、昨年はツインズでプレーした前田健太(まえだ けんた)選手は、2024年からタイガースに移籍しています。

・西地区

ヒューストン・アストロズ
ロサンゼルス・エンゼルス
オークランド・アスレチックス
シアトル・マリナーズ
テキサス・レンジャーズ

 ア・リーグ西地区は昨年まで大谷選手が在籍したエンゼルスやシーズン序盤まで藤浪晋太郎(ふじなみ しんたろう)選手が在籍したアスレチックスが属しています。エンゼルスは2014年に地区優勝して以来、ポストシーズンから遠ざかっています。大谷選手が加わった2018年以降、勝率5割を上回ったことは一度もありません。

 2023年のワールドチャンピオンであるレンジャーズもア・リーグ西地区に属しており、アストロズに次ぐ2位でした。

ナショナル・リーグ

・東地区

アトランタ・ブレーブス
マイアミ・マーリンズ
ニューヨーク・メッツ(千賀滉大選手/藤浪晋太郎選手)
フィラデルフィア・フィリーズ
ワシントン・ナショナルズ

 2023年シーズンはブレーブスが100勝を超え、2位のフィリーズも90勝を挙げ、3位のマーリンズもワイルドカードでポストシーズンに進出しました。

 メッツは千賀選手が2年目を迎え、さらに今シーズンから藤浪選手が加入。しかし千賀選手は右肩痛で離脱、藤浪選手は3Aでメジャー昇格を目指しており段階です。

・中地区

シカゴ・カブス(鈴木誠也選手/今永昇太選手)
シンシナティ・レッズ
ミルウォーキー・ブリュワーズ
ピッツバーグ・パイレーツ
セントルイス・カージナルス

 鈴木誠也(すずき せいや)外野手の所属するカブスは、2016年シーズンに107年ぶりの世界一に輝きましたが、これはMLB史上もっとも長いブランクでもありました。その後も地区優勝を争う強豪でしたが、ここ3年は低迷しています。2024シーズンからは今永選手も加入し、ポストシーズン出場を目指します。

 2023年のワールドベースボールクラシック(WBC)の侍ジャパンで活躍したラーズ・ヌートバー選手が所属するカージナルスは、2022年シーズンの地区王者で2008年以降、15年連続勝率5割以上をマークしていましたが、2023シーズンは勝率.438で地区最下位となりました。

・西地区

アリゾナ・ダイヤモンドバックス
コロラド・ロッキーズ
ロサンゼルス・ドジャース(大谷翔平選手/山本由伸選手)
サンディエゴ・パドレス(ダルビッシュ有選手/松井裕樹選手)
サンフランシスコ・ジャイアンツ

 ナ・リーグ西地区の再注目はドジャースです。2013年から2023年までの11年間で10度地区優勝を果たしています。しかしその11年間でワールドチャンピオンになったのは、2020年の1回だけしかありません。その世界一も1988年以来32年ぶりのものでした。

 しかし今年はエンゼルスから大谷選手を獲得したことで、ムーキー・ベッツ選手、フレディ・フリーマン選手のMVPトリオ打線が完成。山本選手も新たに加わり、投打に強力な選手たちを揃えています。

 そんなドジャースの対抗馬として注目はパドレスです。ダルビッシュ投手の他、今年からは松井選手も加わりました。打線はサンダー・ボガーツ選手、フェルナンド・タティスJr.選手、キム・ハソン選手など名選手が揃っています。

日本人選手について

 2023年シーズンオフに山本選手がドジャース、松井選手がパドレス、今永選手がカブスに加入しました。この3人の加入により2024年シーズンにMLBの舞台で戦うNPB出身の日本人選手は11人です。

 ア・リーグは東地区に吉田選手(レッドソックス)と菊池選手(ブルージェイズ)、中地区には前田選手(タイガース)が所属しています。一方のナ・リーグには東地区に千賀選手(メッツ)、藤浪選手(メッツ)、中地区に鈴木選手(カブス)、今永選手(カブス)、西地区に大谷選手(ドジャース)、山本選手(ドジャース)、ダルビッシュ選手(パドレス)、松井選手(パドレス)が所属しています。

 なお、侍ジャパンで活躍したヌートバー選手は、ナ・リーグの中地区に所属するカージナルスに在籍しています。

まとめ

 MLBはアメリカとカナダに本拠地を置く全30チームで形成される世界最高峰のプロ野球リーグです。3月末から10月頭頃まで開催されるレギュラーシーズンを戦い、12チームがポストシーズンに出場。その12チームが約1カ月間に渡って世界一を目指し、ポストシーズンを戦います。

 日本人選手が11人プレーする2023年シーズンのMLBで最後に笑うのはどのチームでしょうか。細かい部分でNPBと異なる点はあるものの、大筋のルールは変わりません。WBCで興味を持った方も、大谷選手やダルビッシュ選手の活躍を見たい方も一緒に楽しみましょう。

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