引き分けじゃダメですか?敗色濃厚からの持将棋に満足しないベテラン棋士 後輩が「勝とうとしてる…」と絶句/将棋・ABEMAトーナメント
【映像】あくまで勝ちに行く木村一基九段に驚く後輩棋士たち

 この勝ちへの貪欲さが、長年活躍する秘訣だろうか。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」予選Aリーグ第3試合、チーム豊島とチーム稲葉の対戦が4月29日に放送された。第3局はチーム豊島・木村一基九段(49)、チーム稲葉・出口若武六段(27)の対戦。最終盤には相入玉、最終的には持将棋になったが誰もが「引き分けか」と思う局面から、木村九段はぎりぎりまで勝利を目指す手を模索。徹底的な姿勢に後輩棋士たちが「勝とうとしてる…」と絶句する一幕があった。

【映像】あくまで勝ちに行く木村一基九段に驚く後輩棋士たち

 木村九段といえば「千駄ヶ谷の受け師」という異名から、受け将棋のイメージが強いが、揮毫に使い、かつ今回のチーム名にもなっている「百折不撓」の精神で、最後まで勝負を諦めない粘り強さこそが、史上最年長で初のタイトル獲得を成し遂げた原動力になっている。

 そんな強靭なメンタルの一端が見えたのが、本局の最終盤だ。互角の序盤から、中盤以降は出口六段のペース。さらに終盤は相入玉になったものの、点数勝負になったが木村九段の点数が足りず、そのまま出口六段が逃げ切り勝ち濃厚と見られていた。ところが木村九段の執念がすさまじく、大駒奪取に成功したことで木村九段も規定の点数に届き、持将棋(引き分け)が濃厚に。控室で見ていた両チームの棋士たちも、対局者がいつ持将棋とるかの瞬間を待っていた。

 ところが敗戦寸前から引き分けの状況にまで持ち込んだ木村九段は、いつまで経っても攻め手を緩める様子がない。再び形勢が傾くことを心配した後輩たちは冷や汗を書き始めると、豊島将之九段(32)は「勝とうとしてる…」とポツリ。池永天志五段(30)も「勝とうとしてるんですか?」と驚いた。また視聴者たちも同じ気持ちだったようで「おじおじこええ」「すごいもん見てる??」「震えるわ」と、最後の最後まで逆転勝利を狙う木村九段に対して、感動と驚きのコメントが寄せられた。

 この一局は持将棋に終わると、指し直し局は木村九段が快勝。衰えぬ精神力が際立つ結果となった。

◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
ABEMA/将棋チャンネルより)

【映像】控室で大慌てになる稲葉陽八段
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【映像】激闘を振り返るチーム豊島
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