4月29日にベルーナドームで行われた埼玉西武ライオンズ対東北楽天ゴールデンイーグルス戦で、西武の“おかわりくん”こと中村剛也が、NPBでは前人未到の2000三振を記録。中村の持ち味として知られる長打を生み出す“豪快なフルスイングゆえの記録”として注目を集めることとなったが、実際にNPBの記録を紐解くと、長打と三振は切っても切れない縁があることがよくわかる。
今回、2000三振を記録した中村は、通算1974試合での達成となったが、NPBの通算三振記録上位20傑に目を向けると、三振数が出場試合数を上回っているのは中村のみ。つまり、1試合あたり1三振以上を記録していることとなる。無論、この「2000三振」を達成するためには、単に三振ばかりしていればいいというものでもなく、あくまで三振を多く喫していても、起用され続けることが必要不可欠。つまり、中村には「毎試合必ず1回以上三振したとしても、起用し続けるべき理由」があるというわけだ。多くのファンが知るように、その最も大きな理由は長打力であるといえるだろう。
・NPB通算三振記録(5月1日時点)
【1】中村剛也 2000三振(1974試合)
【2】清原和博 1955三振(2338試合)
【3】谷繁元信 1838三振(3021試合)
【4】山崎武司 1715三振(2249試合)
【5】秋山幸二 1712三振(2189試合)
【6】金本知憲 1703三振(2578試合)
【7】新井貴浩 1693三振(2383試合)
【8】中村紀洋 1691三振(2267試合)
【9】ローズ 1655三振(1674試合)
【10】衣笠祥雄 1587三振(2677試合)
【11】広澤克実 1529三振(1893試合)
【12】門田博光 1520三振(2571試合)
【13】松田宣浩 1519三振(1918試合)
【14】小久保裕紀 1516三振(2057試合)
【15】福留孝介 1494三振(2023試合)
【16】野村克也 1478三振(3017試合)
【17】大島康徳 1462三振(2638試合)
【18】村田修一 1462三振(1953試合)
【19】池山隆寛 1440三振(1784試合)
【20】田中幸雄 1416三振(2238試合)
NPBの通算本塁打記録のうち、上位20傑に絞ると、昨年、8月12日の楽天戦(楽天生命パーク)で通算450号本塁打を放った中村は、現在、461本塁打で14位にランクインしている。それだけでも生涯成績としては申し分ないといえるが、実は中村は、この中で唯一の現役プレーヤーなのである。これまで中村は6度の本塁打王を獲得しているが、こちらは1位の王貞治、2位の野村克也に続く歴代3位。こと「本塁打」という点についていえば、現役プレーヤーとしては他者の追従を許さない“独走状態”となっているのである。
・NPB通算本塁打記録(5月1日時点)
【1】王貞治 868本
【2】野村克也 657本
【3】門田博光 567本
【4】山本浩二 536本
【5】清原和博 525本
【6】落合博満 510本
【7】張本勲 504本
【8】衣笠祥雄 504本
【9】大杉勝男 486本
【10】金本知憲 476本
【11】田淵幸一 474本
【12】土井正博 465本
【13】ローズ 464本
【14】中村剛也 461本
【15】長嶋茂雄 444本
【16】秋山幸二 437本
【17】小久保裕紀 413本
【18】阿部慎之助 406本
【19】中村紀洋 404本
【20】山崎武司 403本
無論、その選手ごとのタイプや、時代背景など、様々な要素が複雑に絡み合うため、本塁打数が多ければ多いほど、必ずしも三振数が増えるとは言えないが、少なくとも、三振数&本塁打数の双方にランクインしている選手の大半が名球界入りしているレジェンド選手であることを思えば、中村は既にレジェンドの域に達していると言えるだろう。
昨季は88試合の出場ということもあって、前出の450号本塁打を含む12本塁打と、やや寂しい数字ではあったものの、今季は既に7本塁打を放ち、1位・杉本裕太郎(オリックス・バファローズ)を1本差で追う2位につけている中村。500本塁打への期待が高まる現在39歳、近年のプロ野球界の状況を見れば、まだまだ老け込む歳でもないだけに、今後も力強いスイングで、多くのアーチを架けて欲しいところだ。