戦いながら強くなる チーム斎藤が予選2位で本戦へ!斎藤慎太郎八段、大活躍の後輩に約束通り「オーダースーツ贈ります」/将棋・ABEMAトーナメント
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 戦いながら強くなり、大会前の目標を果たしての予選突破だ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」予選Bリーグ第3試合、チーム山崎とチーム斎藤の対戦が5月20日に放送された。この試合を勝った方が予選突破という一戦は、チーム斎藤がスコア5-3で勝利。千日手を含め全9局の激戦を制した。A級棋士・斎藤慎太郎八段(30)が後輩2人を引っ張るチーム構成だが、個人3戦全勝とMVP級の活躍をした冨田誠也四段(27)には、大会前の約束通り「オーダースーツを贈らせていただきます」と、笑顔で喜びを分かち合った。

【映像】予選突破を喜ぶチーム斎藤の3人

 チームメイトの戦いに一喜一憂し、思いをつないで勝利につなげる。「チームワーク」を絵に描いたようなチームだ。第1局、第2局とチーム山崎・佐々木大地七段(27)に連敗を喫し、予選突破に黄色信号が灯り始めたところ、流れを変えたのは冨田四段だった。3連投してきた佐々木七段と対戦。先手・佐々木七段の居飛車穴熊、後手・冨田四段の四間飛車穴熊という、同大会でもよく見られる相穴熊戦。冨田四段がややリードしたかと思われたが、千日手が成立し指し直しになった。先後を入れ替えて冨田四段が中飛車、佐々木七段が居飛車の対抗形になったが、今度は佐々木七段のペースに。それでも「どうしてもこの将棋は勝ちたかった」と歯を食いしばった冨田四段が終盤に逆転し、嫌な流れを食い止める大きな1勝をもぎ取った。

 連敗を止めた価値ある勝利に、チーム斎藤の雰囲気も一気によくなった。後輩の奮闘に応え、リーダー斎藤八段も第4局でA級に上がったばかりの中村太地七段(34)との相掛かり戦で粘った。序中盤は先行されたが「途中から粘りにシフトした」というように、じっくりと逆転のチャンスを伺うと、技の掛け合いからついに逆転。スコアを2-2のタイに戻す白星を持ち帰った。

 こうなれば勢いは完全にチーム斎藤だ。第5局は、斎藤八段の弟弟子でもある黒田尭之五段(26)。A級経験もある相手のリーダー山崎隆之八段(42)に、後手番の作戦として温めていた横歩取り模様の将棋を選択。気合と気合のぶつかり合いのような激しい戦いにはなったが「いきなり終盤に突入するような将棋でしたが、はっきりこっちの方が攻めが厳しいと思った」と、終始ペースを握っていた黒田五段が78手で快勝。ついにスコアをひっくり返した。

 第6局は冨田四段が勝利、第7局は黒田五段が敗戦して迎えた第8局。やはりこの試合は冨田四段がヒーローだった。リーダー斎藤八段というカードを残したことでプレッシャーも半減しのびのび指すと、中村八段を相手に105手で快勝。個人3連勝を決めるとともに、チームの勝利も確定させた。

 チーム斎藤には1つ約束があった。絆を深めるためのチーム動画の収録時、斎藤八段が後輩のチームメイト2人が1試合で3連勝した際、オーダースーツをプレゼントすると話していた。2人の成長を期待する斎藤八段からすれば、早速飛び出た3連勝が予選突破につながる活躍となれば、これほどうれしいことはない。「予選突破の立役者なので、最初のオーダースーツを贈らせていただこうかと思います」とニコニコしながら宣言した。

 心優しきリーダーが引っ張り、後輩たちがその気持ちに応えようと必死に戦うチーム斎藤。頂点に立つことがあれば、3人とも仕立てたばかりのスーツで、ビシッと決めることになる。

◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
ABEMA/将棋チャンネルより)

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【映像】山崎隆之八段は自分の顔入りパネルに喝!
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