18日、自民党・公明党が「LGBT理解増進法案」の修正案を国会に提出した。一方で、立憲民主党は修正について「内容が後退している」として、超党派議連がまとめた法案を共産党などと共同で提出した。議員立法は全会一致での提出が慣例となっているため、今の国会では審議されない可能性が高まっている。
■どのように修正された?
自民・公明は保守派に配慮し、2年前に超党派議連でまとめた法案の文言を次のように修正した。
「差別は許されない」→「不当な差別はあってはならない」
「性自認」→「性同一性」
■それぞれの立場の“権利”と“不安”のバランスをどう取る?
例えば、トランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)になりすまして、性犯罪目的で女子トイレや更衣室に侵入するなど、悪用への不安をどう防ぐか?
The HEADLINE編集長・石田健氏は女性だけが性被害に遭うわけではない、という前提を踏まえたうえで石田氏は次のように話した。
「前提として確認したいことが2つある。1つ目は、問題の切り分け方について。例えば、日本人による犯罪が起きた場合に『日本人のスペース(権利)を制限しよう』という論理にはならない。あくまでも犯罪者の個別問題として扱う。しかし、LGBTQの問題と犯罪の問題が意図せずに結びつけて考えられてしまう現状がある」
「2つ目は、性自認の受け入れについて。男性が『今日から私は女性として自認します』と言ったからといって、すぐに女性用トイレや更衣室を使えるわけではない。こういった論理が、犯罪につながることと、LGBTQの方の生活実態がかけ離れていることを確認する必要がある」
「その認識を前提として、女性の不安解消と、LGBTQの権利をどう両立していくかが今後の課題だ」
■リスクについて実際どうする?
――性犯罪の被害者に女性が多いとされる現状で、盗撮やわいせつのリスクを考えると、推進賛成の方でも被害者が生まれる不安から賛成できないのでは?
「女性の安全を守る観点から専用トイレが考えられたのが19~20世紀と、まだ歴史が浅いが、トイレや更衣室の不安を解消するための方策はあると思う。性自認については法との兼ね合いの中でも特に議論されており、経産省の中でトランスジェンダーの方がトイレをどう使うか、実際に裁判が起きている。判例で『この施設においてはある程度利用を制限する』など、現状はトランスジェンダーの方が不利益を被ることが容認されている。だからこそ社会全体がそう考えるのではなく、個別具体的に議論を進めていくのポイント」
――トランスジェンダーの方に対応した海外事案を見ると、日本もそうなるのではないかという不安に対しては?
「法律で守られるということを発信することが大事。全ての人が安全で暮らしやすいという理念を守っていく。現実的にトイレ、更衣室を作れる数は企業や建物によりバラバラだが、その中でどのようなスペースのあり方が望ましいか個別にしっかり議論する。問題が出たら社会でもう一度議論するという往復が大事になる」
分断を生まないために、権利の推進と女性の安全の確保は両立できる、と発信することが大事になりそうだ。(『ABEMAヒルズ』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側