<大相撲五月場所>◇十日目◇23日◇東京・両国国技館
この力士においては「棒立ちはダメ」という定説が通用しない。前頭十一枚目・北青鵬(宮城野)が、前頭六枚目・明生(立浪)に圧倒されながらも土俵際で驚異的な粘りを見せて、大逆転の上手投げ。8勝目(2敗)を挙げて勝ち越しを決めるとともに、優勝争いにも踏みとどまった。身長204センチ・体重185キロという抜群の体格、体幹の強さ、バランス力を備えたスケールの大きい相撲が魅力の力士だが、上体が起き上がり真っすぐになった、いわゆる「棒立ち」であるにもかかわらず、土俵際いっぱいで相手の猛攻をしのぎ切ってしまう取り口に、相撲関係者やファンからは「異次元の相撲」「普通じゃ考えられない」驚きと戸惑いの声が続出している。