将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」予選Cリーグ第1試合、チーム広瀬とチーム菅井の対戦が5月27日に放送された。“関西最強”をチーム名に掲げる菅井竜也八段(31)は、3戦全勝の圧巻の勝ちっぷりで自軍をけん引。チームメイトの船江恒平六段(36)、西川和宏六段(37)、チーム広瀬の全員も勝ち星を挙げる大接戦を展開し、フルセットの末、最終スコア5勝4敗でチーム菅井が勝利した。
先陣を切ったのは、菅井八段の兄弟子・船江六段。チーム広瀬の石井健太郎六段(31)との矢倉の一戦で勢いのある攻めを見せて終始ペースを握った。前日に行ったチーム内練習では「全敗だった」と語っていたが、見事初陣を109手で制して見せた。続く第2局では、ABEMAトーナメント初参戦の西川六段が登場。しかし、緊張感の中で持ち味を出し切ることができずに黒星を喫した。
1勝1敗と序盤の山場となった第3局では、勝負の流れを引き寄せるべく両軍ともにリーダーが登場。菅井八段と広瀬章人八段(36)のトップ棋士対決は四間飛車穴熊から相穴熊の一局に。早指しとは思えぬ重厚な差し回しを見せた菅井八段が157手で制した。しかし、ここからチーム広瀬が奮起。第4・5局で近藤誠也七段(26)、石井六段が連勝を飾ったことで、2勝3敗とリードを奪われた。
チームのピンチで立ち上がるのがリーダーの務め。第6局では菅井八段が再び対局に向かったが、両軍考えは同じ。再び広瀬八段との対戦となったが、四間飛車の出だしから188手に及ぶ大熱戦の末に、菅井八段が白星をもぎ取って同星に戻して見せた。このリーダー対決2連勝には、チームメイトも歓喜。控室からは「いやー!強い!」の歓声が上がっていた。
チーム勝利に王手をかけるべく第7局を任されたのは西川六段。3度目となる近藤七段との対戦を前に、菅井八段から「ここで負けたら男じゃないよ!」との激励を受けて対局場へと向かった。三間飛車の出だしから終盤のたたき合いを制し、「(菅井八段から)気合を入れてもらったのがよかった」とホッとした表情で大会初勝利を喜んだ。
第8局は船江六段が敗れて、勝負の行方は最終局に。最後の勝負を担った菅井八段が石井六段との同年代対決を104手で制し、5勝4敗で決着を付けた。シーソーゲームからフルセットの大熱戦で大きな勝利を手にした菅井八段は「チームとして経験値積めた。チーム広瀬には分が悪いと思っていたので、めちゃくちゃ嬉しいです」とニコニコ顔語ったが、「ちょっと2人が頼りなかった(笑)」と頬を膨らませる場面も。それでも「温まってきたと思うので、次はみんな良い将棋を指せると思います」と予選突破への自信をみなぎらせていた。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)