藤井聡太棋聖「気持ち良く対局することができた」初の海外対局を白星で飾る 挑戦者・佐々木大地七段との防衛戦開幕局に先勝/将棋・棋聖戦五番勝負
【映像】初の海外対局に勝利し防衛戦を白星発進した藤井棋聖

 将棋の第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負の第1局が6月5日、ベトナム・ダナン市の「ダナン三日月」で行われ、藤井聡太棋聖(竜王、名人、王位、叡王、棋王、王将、20)が挑戦者の佐々木大地七段(28)に勝利し、シリーズ先勝を飾った。藤井棋聖の4連覇か、佐々木七段の初戴冠か。注目の五番勝負第2局は、6月23日に兵庫県洲本市の「ホテルニューアワジ」で指される。

【映像】初の海外対局に勝利し防衛戦を白星発進した藤井棋聖

 藤井棋聖が七冠保持者としての初を白星で飾った。今期は実力者の佐々木七段を挑戦者に迎えたシリーズに。藤井棋聖にとっては自身が初めて獲得したタイトルとあり、4連覇に向けた思いを込めて開幕を迎えた。さらに将棋界にとっては4年ぶりの海外対局とあり、ベトナム・ダナンには大きな注目が注がれていた。振り駒の結果、藤井棋聖の先手番となると、戦型は得意の「角換わり」が志向された。今年度は防衛戦の叡王戦が振り飛車党・菅井竜也八段(31)との“対抗形シリーズ”、奪取に成功した名人戦では渡辺明九段(39)との“力戦シリーズ”と、角換わりはやや期間が開いた3月の棋王戦五番勝負第4局以来の採用となった。

 流行形とあり互いに速いペースで進行し、昼食休憩までに65手まで進行。藤井棋聖の攻めを佐々木七段が受ける展開から、藤井棋聖が桂馬を跳ねて前例を離れた。攻勢を強める藤井棋聖は中盤でペースを握ると、力勝負が得意な佐々木七段も簡単には崩れない。やや苦しい局面ながら角を踏み込んで先手にプレッシャーをかけ、互角まで押し戻してみせた。

 白熱の終盤戦では、後手玉がと金に追われながらも長考の末に飛車を寄る決断。藤井棋聖が自然に応じてリードを拡大させたかと見られたが、攻め駒の要と見られていたと金を犠牲にしたことで景色は一変し、激しい攻め合いとなった。勝負に出た佐々木七段は次々に攻めの手を繰り出したが、藤井棋聖は飛車打ちから後手の戦力を削り取ると、再び息を吹き返して優勢を拡大。スリリングな終盤戦を制し、勝利を飾った。

 白星発進となった藤井棋聖は、「先手になれば角換わりにしてみようかなと思っていた。お互いの玉がきわめて不安定な形で戦いが続いて、距離感を測るのが難しい将棋だった」とコメント。藤井棋聖にとっては先勝に加えて、海外初対局、七冠保持者となって最初の対局を白星で飾るなど、大きな意味を持つ1勝となった。

 一方、自身初めてのタイトル戦1局目を終えた佐々木七段は、「互角を保っていくというのが難しくて、そのあたりで多めに時間を使ってしまった。終盤で一瞬難しいかなという局面もあったが、そこですぐに悪手を指したような気がする。全体的に、大局観や形勢判断の部分だったり、局面の急所が見えていなかったと思うので、力不足を感じる内容だった」と振り返っていた。

 初の海外対局を経験し、藤井棋聖は「来る前はどんな感じなのか少し不安な気持ちもあったが、素晴らしい環境を用意していただき気持ち良く対局することができた」、佐々木七段は「海外での対局はしばらく無かったが、そのタイミングで対局できたことが嬉しい。(現地の)充実した様々な対応のおかげで対局に集中して臨むことができた。海がきれいだったが、必敗となりなかなか海を眺める余裕がなくなってしまった」と感想を語った。

 藤井棋聖がこのまま防衛に近づくのか、佐々木七段が巻き返すのか。注目の第2局は日本に戻り、6月23日に兵庫県洲本市の「ホテルニューアワジ」で指される。
ABEMA/将棋チャンネルより)

【中継】第94期ヒューリック杯棋聖戦 五番勝負 第一局 藤井聡太棋聖 対 佐々木大地七段
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