5月31日に楽天モバイルパーク宮城で行われた東北楽天ゴールデンイーグルス対横浜DeNAベイスターズの一戦で、横浜のセンター・桑原将志のスーパーキャッチが起点となる形で発生した“謎多き展開”について、NPB元審判員の坂井遼太郎氏が解説した。
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問題となったのは、この試合の4回裏・楽天の攻撃、1死二塁の場面で、楽天の7番・安田悠馬が放った右中間方向への特大の飛球を、横浜・桑原がフェンスに激突しながらスーパーキャッチ。その後、素早く内野へとボールを返すと、二塁走者の岡島豪郎が飛び出した形となっていたため、そのままアウト…となるかと思いきや、審判が桑原のキャッチを一度、「ダイレクトキャッチではない」と判定したことから、大混乱に。
塁間にいた岡島をタッチアウトにすべく、横浜内野陣は挟殺プレーに入り、ほどなく岡島をアウトにしたが、横浜・桑原からすれば、完璧なスーパーキャッチにケチをつけられた形となり、楽天側からすれば、不可解な形で二塁走者を失い、得点のチャンスを棒に振る形となっていたため、両軍とも、なんともいえない雰囲気となったが、この展開に、DeNA・三浦大輔監督がリクエストを要求。審判団による検証が行われた結果、まず桑原のキャッチについて判定が覆り、「ダイレクトキャッチであった」と認めてアウトカウントが1つ増えた上で、挟殺プレーでアウトとなった岡島が二塁走者として残る形でプレーが再開されるという、珍しい形となった。そのため、ネット上の野球ファンからは「意味がわからない」「謎すぎる」「誰も得しない」といった様々な反響が寄せられていた。
6月2日放送の『バズ!パ・リーグ』(ABEMA)では、改めてその模様を紹介するとともに、NPBで審判員をつとめた経験を持つ坂井氏に話を聞くこととなったが、その中で坂井氏は、「今回のリクエストは、結果的には覆っているんですね。「ノーキャッチ」から「キャッチ」に覆ったというところで、そうなると走者が、そもそも「キャッチ」だった場合と、「ノーキャッチ」だった場合で、おそらく、動きが変わってしまうんですね。」と、一連の流れの起点となった桑原のキャッチについて判定が覆り、ダイレクトキャッチしたことが認められたことで、それによって影響を受ける二塁走者・岡島の動きもまた、大きく変わるとした上で、「今回、岡島選手はおそらく、(桑原が)キャッチをしていたら、飛び出していなかっただろうということで、走者を2塁に戻しているというところなんですね。」と、審判団が出した結論について推測する形で解説した。
なお、坂井氏によると、この場面では、岡島が「二塁にいる状態」ではなく、タッチアップを想定する形で、「三塁にいる状態」から再開される可能性もあったというが、まず、それ以前の問題として、推測ではあるが「岡島が自分で判定の内容を決めてしまうセルフジャッジを行わずに(桑原の捕球を判定する)一塁塁審の判定を見ていれば、こうした形にならなかったのでは」と指摘。「審判員が出したのがとりあえずの結果なので、それに対してどうプレーするのかというのを大切にした方がいいと思うんですよ。」と、プレーの中で判定を絶えず確認することの重要性について語った。
(ABEMA『バズ!パ・リーグ』)