将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」予選Cリーグ第3試合、チーム天彦とチーム広瀬の対戦が6月10日に放送された。リーグ最終戦では、予選突破に後がないチーム広瀬が意地を見せ、最終スコア5勝4敗で勝利。チーム菅井に敗れた第1試合に続き、フルセット2局の大激闘を演じ予選2位で本戦進出を決めた。Cリーグは得失点差の結果で、チーム天彦が首位突破となった。
広瀬章人八段(36)率いるチーム広瀬が根性の勝利を飾った。勝てば予選突破、負ければ敗退の第3試合は、佐藤天彦九段(35)率いるチーム天彦と激突。第1試合ではチーム広瀬の近藤誠也七段(26)が立候補で先陣を切ったが、チーム天彦の三枚堂達也七段(29)に敗れて黒星発進となった。続く第2局はチーム広瀬から石井健太郎六段(31)、チーム天彦から戸辺誠七段(36)が出陣。相振り飛車の一戦で石井六段がまずは星を取り返した。
1-1で迎えた序盤の山場・第3局では、佐藤九段と広瀬八段によるリーダー対決が実現。ともに順位戦A級に所属し、対戦経験の多いトップ棋士による一戦は、横歩取りから激しい応酬が繰り広げられる激戦となった。166手の大熱戦の末に、勝利を飾ったのは佐藤九段。解説を務めた井出隼平五段(32)は「佐藤九段の独特の間の取り方で“ワールド”全開、後手の快勝だった」とコメントしていた。
続く第4局でも、戸辺七段が近藤七段との“元チームメイト対決”に勝利。このままチーム天彦が波に乗るかと思われたが、第5局では石井六段が佐藤九段から星を奪う大きな1勝を飾った。四間飛車を採用し相手リーダーに87手で勝利すると、広瀬八段からは「お見事!」の声が上がっていた。この結果で、佐藤九段が前回大会から繋げてきた個人連勝記録は「10」でストップとなった。
石井六段の要所での勝利により、流れはチーム広瀬へ。第6局では広瀬八段が、第8局では石井六段がカド番に勝利し、フルセットに持ち込むことに成功した。最終局は2度目のリーダー対決に。振り駒で佐藤九段の先手となると、雁木の出だしとなった。この大勝負は絶対に譲れない、とばかりに広瀬八段が奮起。トップ棋士同士の超濃厚・濃密な一局を「攻めに転じてからは手が良い方向に行ってくれて、寄せを発見することができて良かった」と、104手で快勝した。
最終スコア5-4で勝利したチーム広瀬は、予選突破が決定。2位通過に「いや~、良かったです。かなり追い込まれていたので、正直諦めていたところもあった」。さらに広瀬八段は、3連勝で予選突破の原動力となった石井六段に対し、「その中で石井さんが正念場で常に良い将棋を見せてくれて勇気付けられた。最終局に勝ってリーダーの名目が保つことができて良かった」と胸の内を語っていた。MVP級の活躍を見せた石井六段は「結果がついてきてくれて良かった。次からも強敵ぞろいだと思うが、このチームで1つずつ勝っていきたい」と本戦を見据えていた。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)