将棋の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」に出場するチーム康光が、Dリーグ開幕を前に恒例のチーム動画収録に参加。リーダーの佐藤康光九段(53)、高見泰地七段(29)、大橋貴洸七段(30)の3人が、激戦が予想される予選に備えて瞬発力と持久力向上のために卓球の100回ラリーに挑戦した。「達成するまで帰れません」という高い壁を前に、3人は悪戦苦闘。ぼやきを連発しながら力を合わせて難関突破を目指した。
【映像】勝負師は協力プレーが苦手!?闘争心むき出しのチーム康光
普段は正座で頭脳をフル回転させて戦う3人とあり、ラケットを持ちラリーに挑む足取りは何ともおぼつかない。このままでは「帰れません」とあり、助っ人として卓球中国代表として活躍経験のある鄭慧萍(テイ・ケイヒョウ) コーチを招へい。特別レッスンを受けて目指す100回ラリーに挑んだ。
最初はぎこちない動きだった3人も、特訓を受けて見違えるほどに急成長。コツをつかむと、コーチとのラリー100回の試験にそれぞれ合格して見せた。満を持してチームでの100回ラリーに挑戦したが、向き合う相手が棋士同士になった瞬間、雰囲気が一変。否応なしに卓球台が将棋盤に見えてしまったが、それぞれ闘争心が沸き立ちラリーが続かない。高見七段は佐藤九段の体力を削り取るようにピンポン球を右へ左へ。負けず嫌いすぎる棋士たちの習性を見抜いた鄭コーチからは、「勝ち負けじゃないからね!?協力です、協力(笑)」と思わずツッコミが入る場面もあった。
身長1メートル76の大橋七段は、やや高い位置からラケットを振り下ろすためピンポン球がネットに引っかかることが弱点に。鄭コーチからは「力の入りすぎが原因。1回打ったら(犬の)ワンちゃんポーズで力を抜いてみて」とかわいらしい指導が入った。この結果、大橋七段と高見七段のラリーは82回に到達。目指す頂きが視野に入ってきた。さらに次に挑んだ3人でのラリーはあと一歩の92回に。11度目の挑戦とすでに満身創痍の佐藤九段は、「うあぁぁぁぁ!」と絶叫して頭を抱えたのち、「あと“7手詰め”くらいだったのに~」とがっくりと肩を落としていた。
チームのムードメーカーでもある高見七段は「着実に前進してる!」と決して弱音を吐かない。3人はボロボロになりながらも、最後は“慎重な指し回し”を見せて見事100回ラリーを達成。コーチを交えてハイタッチで喜んでいた。高見七段は「最初どうなっちゃうんだろうと思っていた」、大橋七段も「100回ラリーと聞いてできるのかなと思っていました」と感無量の様子。佐藤九段は、「体力もつきましたし、瞬発力・持久力もついて良いこと尽くめですね!この勢いで優勝目指して頑張りましょう!」とチーム力を強化した3人で元気に拳を突き上げていた。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)