マイナカードないと図書館使えない?大学が必死で活用実績を作る理由
【映像】マイナカードがないと図書館使えない?反発の声
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 政府が閣議決定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」。この改定案では、マイナンバーカードの利用機会を拡大するための実行計画も定められており、大学での活用事例としては学生の出席管理のなどを周知していくとしている。

 また国立大学においては、『マイナンバーカードの活用を含めた業務の実績についての評価が、運営費交付金の配分に反映する』という記載もある。

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 これを受けてネットで話題になっているのが、すでにマイナンバーカードの活用と普及を進めていた宇都宮大学だ。令和3年度以降の入学生については、「図書館の利用に学生証ではなくマイナンバーカードを使う」とあり、マイナンバーカードを持たない人に向けての記載はなかった。

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 SNS上では、「マイナカードがないと図書館使えないのか」「運営費交付金に釣られたか」「『マイナカード作れ』って実質強制してるよな」などの声があがっている。『ABEMAヒルズ』が宇都宮大学に問い合わせたところ、14日に大学側から、「マイナンバーカードを取得していない学生に対しては磁気カードを貸出している」との回答があった。

 当初、公式HPにその旨の記載はなかったが、その後ページが更新され補足説明が追記された。さらに、マイナンバーカードの取得について以下のように回答を得た。

「強制をするものではありませんので、利用する学生及び教職員の判断に任せております」

 大学でのマイナンバーカードの活用について政府はどこまで介入すべきか。デジタル庁のワーキンググループのメンバーで、マイナンバー制度に携わってきた武蔵大学の庄司昌彦教授に話を聞いた。

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「デジタル化を進めることは全く否定しないし、それぞれの大学で皆さん努力している。『マイナンバーカードがいい』と思う大学があってもいいと思うが、政府がマイナンバーカード普及の手段として『国立大学がすべてそれをやらなければならない』『やらないと交付金を減らすぞ』というようなもっていき方にするのはよくない」(武蔵大学・庄司昌彦教授、以下同)

 行政サービスのデジタル化を進めるため、マイナンバーカードの普及には肯定的な意見を持つ庄司教授だが、大学の活用実績を運営費交付金の配分に反映させることについては「慎重であるべきだ」としている。

「利用者にとってどれだけ便利なのか。学生、大学の運営にとってどれだけメリットがあるのかをまずは明らかにして、『利用したい』という大学を募っていくのがよい」

 また、マイナンバーカードを大学で活用することで、個人の思想や学びを第三者に把握されてしまうのでは、という懸念の声も上がっているが

「マイナンバーカードでやっていることは本人確認。他のマイナンバーカードを使ったサービスと全部のデータが紐づくわけではないので、使ったからといって個人に対する監視が強化されるということではない」

 しかし、出席管理程度の本人確認なら、マイナンバーカード以外の方法で十分だという。かつて、給食費無償化の条件としてカードの取得を条件にした事例が批判されたが、それと同じく、「違うものを人質にとるような方法はやりすぎ」と指摘する。

「大学でどのようにデジタル化を進めるかということと、マイナンバーカードの利用を広げるかは、目的が全然別の世界。“納得・信頼を得ながらやっていかないといけない”ということは肝に銘じてほしい」

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 政府が事例を示した大学でのマイナンバーカード利用について、臨床心理士・公認心理師で明星大学心理学部の教授を務める藤井靖氏に話を聞いた。

――ご自身の大学でマイナンバーカードが必要な場面は?

「あくまで個人的な意見だが、不要。図書館の入退館も授業の出欠席管理も学生証でやっているので、改めてマイナンバーカードを導入する意義はない」(明星大学・藤井靖教授、以下同)

 国立大学への交付金に“マイナンバーカード活用”は本当に影響するのか、文科省に確認すると、「すべての国立大学に影響するわけではない」との回答があった。

 政府の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」によると、「マイナンバーカードの活用を『含めた』業務の実績について評価、運営費交付金の配分に反映する」という趣旨の記載がある。

 『含めた』の意を確認したところ、マイナンバーカードを使ったデジタル化でも、マイナンバーカード以外のデジタル化でも、大学が自由に目標を定めればよく、その目標の達成度合いで評価するということだった。

 つまり、大学がマイナンバーカードの活用を目標に入れなければ、評価の対象にはならない。

 しかし、そうするとこの文章の「マイナンバーカード」の文言は、入れる必要性はなかったということになる。

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――この文言についてどう思う?

「『デジタル庁必死か!』と思う。こういう資料を見ると、大学側は当然忖度することを考える。国としては大学の環境も使ってマイナンバーカード進めたいんだなと。特に国立大学は国立大学法人評価という評価制度がある。委員会で評価されて、国からのお金の配分の増減につながるので『やっておいた方がいいよね』と、どこの大学でもなると思う」

「私立大学も大学基準協会の認証評価を7年に1回受けて、適合・不適合が決まる。最近特に重視されているのは内部質保証。これは例えば研究や教育の質の管理で、あとは教職員の働き方や財務の適正状況なども含めて評価される。大学関係者の立場からいえば、このマイナンバーカードの導入にどういう論理的な整合性があるのか、どういう類の質の向上や効率化につながるのかが全く分からないので、意義を明示して欲しい」

「最も割りを食うのは当然学生。少なくとも我々としては、学生の負担が無用に増えるような形にならなければいいなと思う」

(『ABEMAヒルズ』より)

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