【スーパーフォーミュラ】第5戦（決勝・6月18日／スポーツランドSUGO）
「大湯がOTS使ってるか教えてね！ こいつ、レインライトで嘘ばっかりついてるから！」
5周目、宮田莉朋（VANTELIN TEAM TOM’S）からチームに向けて冒頭の無線が入った。OTSとは、一時的にエンジンパワーをアップさせる「オーバーテイクシステム」のこと。そして、レインライトとは、その名のとおり雨で視界が見づらい時に赤く点灯されるリアランプのことだ。
今年から、OTSを使用した際にライトを点灯させないシステムに切り替えられたが、実は国内最高峰の『スーパーフォーミュラ』では第4戦から、OTS使用中にレインライトを点滅させ、後方からもOTSを使ったかどうかが視認できるようになった。一度OTSを使うと、SUGOでは次にOTSを使うまでに110秒間のインターバルが必要になる。前者がOTSを使ったかどうかが瞬時に分かれば、さらに戦略的にOTSを使うことが可能になるというわけだ。
それを逆手に取ったのがトップを走っていた大湯都史樹（TGM Grand Prix）だ。OTSとレインライトの点滅は全く同じ。つまりレインライトを点滅させれば、「OTSを使った」と後方のドライバーに誤認させることができる。それで順位を争っているライバルが誤ったタイミングでOTSを使ってくれればしめたもの……という戦略だったはずだが、一流ドライバー宮田の目は欺けなかった。
スーパーフォーミュラでは、コース上のバトルだけではなく、心理戦も行われている。こんなことも知っておけば、さらにレースが楽しく見られるかもしれない。
（ABEMA『スーパーフォーミュラ2023』／(C)JRP）
