藤井聡太竜王・名人、“八冠ロード”挑戦権獲得まであと1勝 羽生善治九段との七冠経験者対決制し決勝進出/将棋・王座戦挑決T
【映像】藤井竜王・名人が羽生九段に勝利した準決勝

 将棋藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)が6月28日、王座戦挑戦者決定トーナメント準決勝で羽生善治九段(52)に勝利し、決勝進出を決めた。全八冠制覇に大きな期待が寄せられている藤井竜王・名人にとって、永瀬拓矢王座(30)が保持するタイトル挑戦・奪取が最大の難所。屈指の好カードとなった羽生九段との準決勝を制し、“八冠ロード”をまた一歩前進した。

【映像】藤井竜王・名人が羽生九段に勝利した準決勝

 七冠経験者同士による注目の一戦は、若き絶対王者に軍配が上がった。八冠挑戦を目指す藤井竜王・名人と、タイトル100期を狙う羽生九段が激突した準決勝。年初に行われた王将戦七番勝負以来の対戦となった本局は、藤井竜王・名人の先手番で角換わりの出だしとなった。難解な中盤戦から、夜戦に突入してもなお互角で推移。互いに持ち時間切迫の中で力のこもった攻防戦が繰り広げられた。

 藤井竜王・名人は、銀で自を補強しつつ後手の攻めを催促。羽生九段は強く攻勢に出て藤井玉に迫った。後手からの猛攻に一気に緊迫感が漂ったが、巧みに受けきりリードを拡大。最終盤に攻めへと転じると、一気に押し切って勝利を手にした。この結果、藤井竜王・名人は決勝戦に進出。将棋界内外から大きな注目が集めている全八冠制覇に向けて、また一歩近づいた。

 終局後、藤井竜王・名人は「(終盤戦では)こちらの玉がかなり薄い形で、それほど自信のある形勢ではなく、そんなに手が広い局面ではないのかなと思っていました」とコメント。自身初となる決勝進出については、「王座戦ではしばらく振るわない成績が続いていたので、今期ここまで進めたことは良かったかなと思っています」と語った。

 一方の羽生九段は、「受けに回る展開になって、ちょっとずつ自信がない局面が続いていた、難しいと思ったが、組み合わせらしい組み合わせが指せなかったような気がします。あまり良いと思った瞬間はなく、ずっと難しく自信がない局面が続いていました。いろんな手を指されて非常に勉強になる一局でした」と振り返った。タイトル100期挑戦は持ち越しとなったが、「次のチャンスを作れるように頑張っていきたいと思います」と語った。

 藤井竜王・名人は現在、佐々木大地七段(28)を挑戦者に迎えた棋聖戦五番勝負の真っ最中。7月3日には1勝1敗で第3局(静岡県沼津市)が予定されている。さらに7月7日には、同じく佐々木七段と激突する王位戦七番勝負が開幕する。2つの防衛戦に加えて、初の王座挑戦を視野に入れる藤井竜王・名人。決勝戦は渡辺明九段(39)ー豊島将之九段(33)戦の勝者と激突と、挑戦権争いのゆくえからますます目が離せない。「棋聖戦と王位戦の防衛戦もあるので、自分としては(八冠挑戦は)全く意識していませんが、まずは挑決に進むことができたのでしっかり準備して次の対局に臨みたいと思っています」と運命の一戦への意気込みを語った。
ABEMA/将棋チャンネルより)

【中継】第71期 王座戦 挑戦者決定トーナメント 藤井聡太竜王・名人 対 羽生善治九段
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