将棋日本シリーズ JTプロ公式戦の今季開幕戦となる1回戦・第1局が7月1日、宮城県仙台市の「夢メッセみやぎ」で行われ、山崎隆之八段(42)が羽生善治九段(52)に109手で勝利、2回戦に進出した。次戦は8月19日、新潟県の新潟市産業振興センター展示ホールで永瀬拓矢王座(30)と対戦する。
今期開幕戦は、衝撃な一局となった。本局は、先手の山崎八段得意の相掛かりの出だしに。角道を開けず、序盤から構想力が問われる力戦調の将棋となった。先に持ち時間を使い切ったのは山崎八段。両者前後に身体を揺らしながら深い読みを入れると、羽生九段が攻勢に出て先に抜け出すことに成功した。
難解な中盤戦では、羽生九段が銀を繰り出して先手陣を圧迫。山崎八段も盤面全体を広く使い積極性を見せたが、後手は攻守自在の差し回しでリードを拡大。5回の考慮時間も使い切った山崎八段だったが、局面の複雑化を図るような一着を見せると、現地大盤解説を務めた森内俊之九段(52)からは「山崎ワールドですね」の声も上がっていた。ぐいぐいと戦線を拡大する羽生九段は、終盤でも冷静な差し回しで後手を圧倒した。
このまま勝利を手にするかと思われた最終盤で、ドラマが待っていた。勝勢だった羽生九段だったが、詰めろをかけたところで形勢は急転直下の大逆転。公開対局を見守った観客は息を呑み、静まり返っていた。形勢が悪い局面から数々の逆転劇を演じてきた山崎八段だが、この劇的勝利に、終局直後には言葉が出ない。感想戦ではしばらく考え込んだ後、「勝負所で自分がうまく指せずに差が開いてしまった。差が開きすぎてしまい…、もうちょっと頑張ります」と語った。
一方、最後の最後で勝利が手からこぼれ落ちた羽生九段も、頭を抱えて呆然とした様子。「いや~ひどかったですね、あきれました…」と悔しさをあらわにした。
この結果、山崎八段は2回戦に進出。2回戦第1局は新潟県新潟市に舞台を移し、永瀬王座と対戦する。
JTプロ公式戦は前年覇者、タイトルホルダー、賞金ランキング上位者から12人が選出されるトップ棋士たちによるトーナメント戦。持ち時間は各10分、切れたら1手30秒未満、各5分の考慮時間。
(ABEMA/将棋チャンネルより)