思春期の中高生から拒否感 「男女共同の水泳授業」ネット上で疑問の声が続出 なぜ、このような声が大きくなっているのか?
【映像】学校側が考える「男女共同」の“メリット”
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 夏になり多くの学校で始まる水泳の授業。暑い中、冷たい水の中で泳ぐ人気の授業かと思いきや、中高生からは男女共同の授業に疑問の声が上がっているという。男女共同の水泳授業の必要性について考えた。

【映像】学校側が考える「男女共同」の“メリット”

「もうすぐ体育で水泳授業が始まるからテンションがた落ち。中学で男女一緒はキツい」

「男女でプールの授業一緒とかどないなってんねん」

 SNSで上がる男女共同の水泳授業に対する疑問の声。なぜこのような声が大きくなっているのだろうか。水泳教育を研究する鳴門教育大学の松井敦典教授に話を聞いた。

思春期の中高生から拒否感 「男女共同の水泳授業」ネット上で疑問の声が続出 なぜ、このような声が大きくなっているのか?
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「中高生は思春期だから、異性の体を見るのに抵抗があるのは、今に始まったことじゃない。では、なぜ近年になってそうした声が上がるのかというと、コロナの影響で3年くらい前から水泳の授業がなく、水着になっていないからだ。慣れていないことで“拒否感”が強調されているのだろう」

 では、男女共同で水泳授業を行うメリットにはどんなものがあるのだろうか。松井教授は「男女が一緒に活動することは、異性への理解に役立つ。また、お互いにかかわるなかで、一緒にスポーツを楽しむ方法や交流の楽しさを知ることができるというメリットがある」と述べる。男女共同の授業には、多様性や社会性を育てるために必要という研究結果もあるそうだ。

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 一方で、疑問の声を受けて男女別々で行う学校も増えている。松井教授は水着姿が恥ずかしいなどの“思春期の問題”に対しては「子どもたちが心地よく学習に取り組めるように配慮が必要だ」とした上で、「問題がすぐに解消されないとしても、水泳授業は水難事故防止の技術を身につけるという意義もある。授業は受けてほしい」と訴えた。

「水泳の授業ができなかったことで、水泳の能力を身につける学習の機会が減ってしまった。実は、溺れる一番の原因は自分自身の能力を知らないことにある。授業を受けていれば、お互いに『あいつは泳げる』『あいつは泳げない』と把握しあえる。自分の身を守るためにも、好き嫌いとか恥ずかしいとかではなく、授業を受けてほしい」

 このニュースについて、『ABEMAヒルズ』に出演した株式会社SchooのCCO・滝川麻衣子氏は「男女共同を続けるか否かという前に議論すべき2つのポイントがある」と指摘した。

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「1つは水着の選択肢についてだ。今の水着はラッシュガードや長袖タイプのものがあったり、女子にも半ズボンタイプがある。水着の選択肢を学校側が与えられているかも重要なポイントだろう。2つ目は、ジェンダー教育の授業がしっかりと行われているかどうかだ。思春期の子どもが嫌がる大きな要因は『容姿』についてだと思う。スタイルの良し悪しを品評されたり、性的な目で見られることへの嫌悪感は大きいはずだ。相手の性に対してのリスペクトを持って会話すべきだし、学校側もそうした教育の機会を与えているかは議論すべきだと思う。

 基本的に生徒は学校側の指定に従わなければならない立場に置かれている。だからこそ、学校側が選択肢を用意しているのかは重要だ。ジェンダーについても『相手が嫌な思いをすることがあるんだよ』という教育は徹底されるべきだろう。これらがクリアされてから、ようやく『男女共同なのか別々でやるのか』という議論に入れるのではないか」

(『ABEMAヒルズ』より)

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