ツール・ド・フランス第2ステージの残り97㎞付近で、実況、解説席から悲鳴が上がった。逃げの選手が通過直後、コース脇の土手から犬が駆け下りてきてレースに乱入。帯同するバイクや車にあわや轢かれるようなシーンがあった。幸い、犬にも選手にも関係者にもケガはなく、犬は審判車を威嚇していずこへ……。あわや惨事を引き起こしかねない突然の珍事に、放送席からは驚きの声が上がった。
【映像】コース上に乱入し、審判車に食ってかかる犬(1時間3分ごろ)
自転車ロードレースは一般道を使ったスポーツだけに、これまでも様々な珍客がコースに入ってきた。馬、牛、羊…、今回のように犬が乱入して選手と激突してしまったのが、2007年ツールの第9ステージ。マークス・ブルグハート選手の前輪にラブラドールレトリーバーが横から突っ込んできて、前輪はグニャリと曲がり、ブルグハートは前転。中継解説者が「ワンワン落車」と命名し、日本でも有名な落車シーンとなった。この際も、双方に大きなケガはなかったが、その後の第18ステージでも犬が横断し、逃げグループの中の2人が大クラッシュ。1人はその影響で逃げから脱落し、もう1人のサンディ・カザールは傷だらけになりながらも、当ステージを逃げ切り優勝した。
ツールはこうしたアクシデントだけではない。こぶし大の雹が降り始め、選手が建物の陰に退避したり、レースが線路を横断する際にちょうどTGVが通過して遮断機手前で待つことになったり、デモ隊がコースを塞いで中断を余儀なくされたり…。選手は自然現象、社会現象などとも対峙しながら、パリのフィニッシュを目指している。観戦するほうも、「今日は何事もおこりませんように」と祈るばかりだ。どうぞ、犬を連れての観戦の際は、リードの利用をお忘れなく。(ABEMA『SPORTSチャンネル』)