富の象徴の一つであるタワーマンション。実は相続税においてかなり得をしていたが、いよいよその“特権”にメスが入る。
【映像】評価額が爆増? タワマン節税に大きく影響する“新ルール”
「マンションの相続税評価については、国税庁通達に基づく評価額と時価が大きく乖離する事例が把握されている。これを踏まえて、国税庁において本年1月に有識者会議を設置した。見直しの具体的な内容について、いま正に検討を行っているところだ」(鈴木財務大臣)
鈴木財務大臣が先週の会見で言及した「マンションの評価額問題」。相続税の根拠となるマンションの評価額が実際の価格よりも大幅に低いケースがあり、国税庁は税負担の公平化を図るために見直しを進めている。
土地の評価額を算定する際、建物の戸数によって分割されるため、タワマンのように戸数が多いほど1戸あたりの評価額は下がる。実際の市場価値は1億円だとしても、評価額が3000万円程度になることもあり、相続税の負担が大幅に軽くなる。現金で相続するよりも得になるので、富裕層の間では“タワマン節税”として注目されていた。
そんななか国税庁は、現行の相続税評価額と実際の価格との乖離率(評価乖離率)をかけた価格を改めて算定。そこに60%をかけた値が最低の評価額となる新方式を発表した。意見公募を行ったうえで、来年1月からの適用を目指すとしている。
新たな算出方式で評価額はどのくらい変わるのか。相続に詳しい税理士の山本宏氏に聞いた。
「乖離率が約1.67倍(0.6分の1)を超えると新しい評価方式になる。今回は計算しやすいように乖離率を2.5倍の250%、元々の財産評価額を1000万円と設定する。まず1000万円に250%(2.5)をかけて2500万円、これに60%(0.6)をかけるため、評価額は1500万になる」
仮に相続税率が30%の場合、1000万円から1500万円へと評価額が500万円上がることで「150万円の増税」となる。より高価なマンションでは、増税額は数千万単位になるという。ここ数年のマンション価格の高騰も相まって、タワマン節税を目論んでいた人々には大きな影響があると山本税理士は話した。
「例えば都心部で2億円で買って10年後に3~4億になっているかもしれないタワマンは、今回の方式で4億の60%、2億4000万円で評価される。(従来の評価額では)1億円だったものが、2億4000万になってしまうということだ。“年末まで”と“年明け後”で世界が変わってしまうので、『今年のうちに駆け込みで贈与しよう』と考える人も出てくるのではないか」
このニュースについて、『ABEMAヒルズ』に出演した株式会社キャスターの取締役CRO石倉秀明氏は「全然いいのではないか」と評価する。
「タワマンなどを相続する人の多くは富裕層で、資産を持っている。貰えると思っていた資産を受け取る負担が増える側面はあるが、お金を持っている人たちだと思うので『まぁ、どうぞ』といった感じではないか。
最近有名な話では、働いている人の資産の伸びよりも、働かずに土地などを持っている人の資産の伸びの方が大きいと言われているそうだ。要は資産を持っていないと格差が大きくなるということだろう。“親が富裕層の人がより富裕層になりやすい”という状況を避ける意味においては、資産に対する税率を上げてお金を分配していくことは正しい政策ではないか。いま頑張って稼いでいる人が得をするほうがいいなと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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