将棋の藤井聡太王位(竜王、名人、叡王、棋王、王将、棋聖、20)が、7月13・14日に兵庫県神戸市の「中の坊瑞苑」で行われた伊藤園お〜いお茶杯王位戦七番勝負第2局で挑戦者の佐々木大地七段(28)を98手で敗り、開幕局に続き連勝を飾った。シリーズ成績を2勝とし、防衛4連覇に向けてリードを広げた。注目の第3局は、7月25・26日に北海道小樽市の「料亭湯宿 銀鱗荘」で行われる。
【映像で見る】解説陣が「私なら躊躇した」と語った終盤の藤井王位の角切り
藤井王位が王者の差し回しで開幕からの連勝を飾った。本局は佐々木七段の先手番で、相掛かりの出だしに。銀を進軍させて仕掛けると、後手の藤井王位も桂馬を跳ねて強く応じ激しい戦いへと発展した。さらに先手陣に角を打ち込み攻めを呼び込むと、歩の進行でも先手玉を圧迫して藤井王位がペースを握った。
2日目に突入後は互いに長考を重ねた慎重な進行から、藤井王位は先手陣に打ち込んだ角を引いて馬を活用。1筋から端攻めを繰り出した佐々木七段に対し、後手は馬と飛車の大駒2枚で先手玉上部にプレッシャーをかけて攻撃的な布陣を敷き先手の動きを厳しく制限した。苦しい時間が続く佐々木七段も飛車を回って後手の玉頭に狙いを付け、金を上がる勝負手を放ったが形勢を押し戻すまでには至らなかった。
終盤戦は藤井王位が敷いたレールに乗ったように一方的な展開に。一度優位に立つとAI評価値がそのまま藤井王位側に向かって傾く様を現した“藤井曲線”を描き、若き絶対王者が2つ目の白星を手にした。この結果、シリーズ成績は藤井王位の2勝に。防衛4連覇に向けて挑戦者からリードを奪うことに成功した。
開幕2連勝を飾った藤井王位は、「これで先後1局ずつ指す形になったので、これまでの2局の内容をしっかり内容を振り返って第3局以降も頑張りたいと思います」とコメント。苦しい連敗となった佐々木七段は「序盤の細かい形の違いを理解していなくて暴走してしまったのが厳しくした原因」と語り、「課題が山積みなのでしっかりと修正して、良い将棋を指せるように頑張りたいと思います」と前を向いた。
両者は、現在並行して行われているヒューリック杯棋聖戦五番勝負でも激突しており、夏季のダブルタイトル戦で十二番勝負を繰り広げている。七冠を保持する藤井王位がタイトルを堅守するのか、佐々木七段が絶対王者を破り初戴冠となるか、両者の戦いから目が離せない。なお、両者の次局は18日の棋聖戦五番勝負第4局。こちらは藤井王位が2勝1敗で防衛4連覇まであと1勝に迫っており、新潟市「高島屋」で決着を付けるか佐々木七段が再び追いつきフルセットに持ち込むか、この戦いからも目が離せない。
王位戦第3局は7月25・26日、石狩湾を見下ろす平磯岬の高台に立つ小樽市指定歴史的建造物の「料亭湯宿 銀鱗荘」で指される。
(ABEMA/将棋チャンネルより)