<大相撲七月場所>◇十二日目◇20日◇名古屋・ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)
はたき込まれて一度は土俵に手がつくも、一生懸命さ、または勝負への執念が勝ったか自らが落ちたことに気づかず、そのまま起き上がって再び前進。呆気にとられている相手力士を寄り切って軍配が上がるも、物言いの末に軍配差し違えとなる珍しい取組があった。
序二段八十四枚目・出立(宮城野)が序二段八十六枚目・鷹司(雷)をはたき込んで4勝目を挙げた一番は、一度ははたき込みに落ちて土俵に手を突いた鷹司が、土俵に手をついたことに気づかず、むくっと起き上がって出立のまわしを引き付けると、そのまま寄り切り。軍配は鷹司に上がったが、すぐさま物言いがつき、協議の末に軍配差し違えで出立が4勝目(2敗)を挙げ、鷹司が3敗目(3勝)を喫した。
立ち合い諸手で立った出立は、しっかり鷹司の出足を封じ込めると、はたき込みを決めた。一瞬、鷹司の手が土俵に着いたようにも見えたが、そのまま起き上がった鷹司は「あれ?落ちたよね?」といった様子で呆気に取られている出立の両まわしを引くと一気に寄り切った。
行司軍配は鷹司に上がったが、物言い協議の末「行司軍配は西方力士(鷹司)が有利と見て上げましたが、西方力士の『手がついているのではないか』と物言いがつき、協議した結果、西方力士の手がついていました。行司軍配差し違えで、東方力士(出立)の勝ちといたします」とする簡潔な説明がアナウンスされ、状況を理解した館内に拍手が起こった。
珍しい展開にファンからは当初「なんだ!」「え?」など戸惑いの声が上がったが、簡潔な説明を受け「完全についている」「確認のための」「差し違えだね」など冷静な受け止めが大勢を占めていた。(ABEMA『大相撲チャンネル』)