テレワークで把握しづらい社員の疲労や緊張状態を把握できるサービスが6月にリリースされた。このサービスでは、人の動きの情報を取得し、ユーザーの様々な感覚を共有できる「ボディーシェアリング技術」が使われている。
マングローブ林の中でのカヤック体験やロボット操作によるイチゴの収穫といったアクティブな動作を、遠く離れた場所からでも可能にする「ボディーシェアリング技術」。これは、ベンチャー企業H2L株式会社を創業し、琉球大学工学部教授を務める玉城絵美氏が研究を進める技術だ。
玉城氏が代表を務めるH2Lと、空間創造のコンサルティングなどを手がける株式会社乃村工藝社が共同開発したサービス、メタバースオフィス『BodySharing(R) for Business』が今年6月にリリースされた。
このサービスでは、メタバース上で働く仕事仲間の現在の状態をボディーシェアリング技術によって可視化し、アバターにリアルタイムに反映させることができるという。重要になるのは、ユーザーの「筋肉の状態」だ。ユーザーは専用のデバイス『FirstVR』をふくらはぎに装着し、筋肉の膨らみを読み取り固有感覚を推定することで、緊張の有無「リラックス度」と肉体疲労の度合い「元気度」が測定できるという。
例えば、リラックスしているときには画面内のアバターに音符が表示される。情報は刻一刻とアバターに反映されていくため、疲れが見える社員には休憩を促したり、余裕が見られる社員には仕事を振るなど活用法も様々だ。
テレワークの普及が進み、社員の疲労や緊張を把握しづらくなった中、H2Lはこのサービスの活用で人員配置の最適化や生産性の向上につなげたいとしている。
ボディーシェアリング技術の研究を進める玉城氏に、メタバースオフィスの活用法を聞いた。
――メタバースオフィスのメリットは?
「リモートで働く方々は、声をかけるタイミングを気にしたり、仕事の負担具合がわかりづらかったり、対面よりもコミュニケーションが取りづらい。リラックス状態や元気度などの共有によって、『今この人はちょっと時間ある、相談しよう』『緊張していて体力ない場合はフォローアップしよう』というコミュニケーションも取りやすくなる。自分のコンディションを公開することに抵抗がある人もいるかもしれないが、実際にやってみると、みんな公開してくれて、慣れてくるとそれほど気にならないと思う」(以下、玉城氏)
――コンディションがわかると組織はスムーズにいく?
「メタバースオフィスに入っていると、誰かに相談したり自分がフォローアップしてもらえるので働きやすいと好評をいただいている。特に弊社の社員は、東京や名古屋、福岡、沖縄など、いろいろなところに散って働いている。最近社員に聞いたら夏なので旅行していて、『マカオにいます』と言っていた」
――いま生成AIが話題だがそこに繋がっていく可能性もある?
「生成系AIを使って、今後メタバースオフィスの中で職人技なども共有できるようにしたい。まずは、ビジネスからだ。自分の分身を作って代わりに働いてもらったり、仕事の引き継ぎなどで『こういう風に仕事してください』と任せるなど、楽しく働ける未来にしたい。今まで私はバーチャルオフィスと言っていた。バーチャルは『現実世界に似ているもの』という意味だが、メタバースは『現実世界を超越するもの』。体力や緊張を可視化して、世の中が働きやすくなればいい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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