「筋トレ」というと、体を鍛える、運動不足解消など、さまざまなイメージがあるが、実は最近、美容・若返りにも効果があることがわかってきた。
立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授らの研究チームが、ポーラ化成工業と共同で行った研究で、筋トレに若返り効果がある可能性を突き止めた。
「筋トレでは筋肉を若返らせる、認知機能を改善するなど、いわゆるアンチエイジング的な効果が認められていたが、肌に関しては全くそういう調査はなかった。そういう意味では今回、世界で初めてという研究成果になった」(以下、藤田教授)
人間の皮膚には表面の表皮、その下には真皮と呼ばれる層がある。真皮はコラーゲンなどを含み弾力性を保っているが、年と共に年々薄くなっていく。真皮が筋トレによって厚くなる、すなわち、肌の状態が若返ることが明らかになった。
「真皮の薄い人は見た目年齢が高くなることがわかっていて、真皮の部分が厚くなると肌の状態がより若返ることもそうだが、見た目年齢にも影響してくる部分なので、若返りになっていると言えると思う」
藤田教授らのチームによる研究では、40~50代の女性61名を、有酸素運動と筋力トレーニングのグループに分け、週2回の運動を4カ月間続けてもらい、皮膚計測や採血で皮膚の状態を観察した。すると有酸素運動と筋トレ、両方で真皮の弾力性と構造を改善させることが明らかになった。一方で、「真皮の厚み」を増加させる効果は、筋トレのみに見られたという。
「いわゆるハリがよい状態になるのは有酸素運動でも獲得できると今回わかったが、ただ真皮の厚みという見た目年齢にも関係する所は筋トレの方が特異的な適応だった」
また、今回女性を対象に調査を行ったのにはこんな理由もあるという。
「女性の中には、筋トレと聞くと『足や腕が太くなるからやらない』という方も多いが、美容の観点からもポジティブな効果が期待できるので、運動するモチベーションになればいいなと思う。今まで肌に関しては、基本的には紫外線がすごく大きな加齢の要素だと言われていたが、内側から影響する因子によってそれを変化させることができるという意味では新しい知見だと思う」
今回の調査では、全身の筋肉を使う6種目をマシンで実施したという。藤田教授によると、筋トレの目安は週に2回で、種目は上半身と下半身、できれば全身を鍛えるほうが効果が大きい。最初は無理をせず、自分の体重を使ったスクワットや膝をついた腕立て伏せなど、自宅でできる運動を継続し、「ちょっとキツいな」と感じる程度の筋トレを繰り返すと効果が期待できるという。
注意点として、やりすぎないこと、筋肉痛が出たらおさまるまでその部位はトレーニングしないことをあげている。
筋トレと若返り効果について、YouTubeの科学番組のプロデュースを行う俳優・サイエンスコミュニケーターの佐伯恵太氏に話を聞いた。
━━腕を鍛えると腕だけ若々しくなる?
「鍛えた筋肉のみに若返りが起こるわけではない。基本的に、体全体の筋肉量を増やす場合は、大胸筋やお尻など大きな筋肉を鍛えるので、鍛えた部位だけではなく体全体に影響があると思う」(以下、佐伯氏)
━━ゆるめの“筋トレ的なもの”でも効果はある?
「個人差が大きいが、自分の負荷に合わせて『ちょっとキツいな』を繰り返すことで効果が期待できる」
━━やりすぎも良くない?
「やりすぎると筋肉痛などの回復が追いつかなくなり、筋トレとしての効果が落ちたり怪我のリスクが上がるので適度にやるのがよい」
━━筋肉が大きくなる以外にどんなメリットがある?
「長期的に見た研究があり、週30~60分を目安の筋トレで、死亡や疾病のリスクが下がるという結果も出ている。やりすぎると逆にリスクが上がってしまうケースもある。一般の方は適度にするのがよい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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