常勝軍団としての力をこれでもかと見せつけた。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」本戦トーナメント1回戦第1試合、チーム永瀬とチーム広瀬の対戦が7月29日に放送された。チーム永瀬は大エース・増田康宏七段（25）が完全復活の3連勝でチーム広瀬を粉砕。最終スコア5勝2敗で勝利し、2回戦進出を決めた。リーダー・永瀬拓矢王座（30）は「良い成績で突破することが出来て嬉しい」と感無量の表情。次戦では予選Dリーグ1位通過したチーム糸谷と対戦する。
本戦開幕局はリーダーの永瀬王座自ら出陣したが、チーム広瀬の近藤誠也七段（27）との角換わり腰掛け銀の一局に敗れ黒星発進。永瀬王座が寄せに向かって強く踏み込んだが、ぎりぎり寄らず近藤七段の受けの強さに退けられる結果に「初戦ということで、エンジンがかからない段階でフルで行ってしまった。もう少し粘り強く指さなければいけなかった」と反省の言葉を口にした。
リーダーの負けを取り返すべく、第2局ではエース・増田七段が登場。石井健太郎六段（31）の三間飛車を破りすぐに星を取り返して見せた。するとこの勝利で勝どきが上がったか本田奎六段（26）、永瀬王座も続いて本戦初勝利。第5局では増田七段が近藤七段を攻めつぶし、わずか77手で快勝を飾った。
黒星スタートも、4連勝でチーム勝利まであと1勝に迫った第6局では、再び本田六段が登板。しかし、相手リーダーの広瀬章人八段（36）との相掛かり戦で力を封じられて手痛い黒星を喫した。流れを止めてはいけない、と第7局は好調の増田七段が最後の登場。連投してきた広瀬八段との横歩取り戦に勝利し、個人3戦全勝と完全勝利を遂げた。
この結果、永瀬王座1勝、増田七段3勝、本田六段1勝と全員の白星を積み重ねて5勝2敗で勝利。安定感抜群のチーム広瀬を破り2回戦進出を決めた。永瀬王座は「良い成績で（1回戦を）突破することが出来て嬉しい」と感無量の表情。さらに「増田七段の調子が戻ってきてくれてとても嬉しいです」と“エース”兼“部長”の完全復活を喜んだ。
負ければ敗退の厳しい本戦トーナメント。次戦は糸谷哲郎八段（34）率いるチーム糸谷との初対戦が決定した。永瀬王座は「どうなるかとても楽しみ。予選、本戦1回戦と経験値を溜めることができましたので、それを上手く生かして熱戦、良い形にできればと思います」と意気込みを語った。藤井聡太竜王・名人（王位、叡王、棋王、王将、棋聖、21）をチームメイトとして優勝を飾った第3回大会から3年ぶり2度目の優勝へ向けて、“常勝軍団”の躍進は止まらない。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
（ABEMA／将棋チャンネルより）
