日本最大規模の中古重機オークションが大盛況だ。主催者によると3日間でなんと29億円もの売り上げがあるという。
朝6時から来場者による長蛇の列ができ、次から次へと「ユーズド重機」が運ばれてくる。重機の特徴を紹介する「アピールタイム」では、油圧ショベルのスムーズなアームの動きが披露さ れ、会場は盛り上がっていく。
オークションでは、2〜3分の間に数千万円が動くことも珍しくない。新車で5600万円の大型クレーン車は、1185万円で落札。ほかにも、1110万円、1310万円、1790万円……と、続々落札される。
会場敷地には、全国から集められた重機が約700台並び、オークションの3日間で売り切れるという。オークションを開催する、相互通商株式会社の冨塚達也さんは「この3日間の売上は29億円。このオークションに、一番いい機械を持ってくる傾向があり、売上も相場の倍近くになる」と語った。
会場では、外国人を多く目にする。参加者の4割は外国人バイヤーで、東南アジアや中東に輸出しようとする。
「日本の重機だと、みんな安心して使える」(バングラデシュ人バイヤー)
「整備・メンテナンスがちゃんとされている」(アフガニスタン人バイヤー)
そして、外国人バイヤーが特徴としてあげるのは、「ユーズド・イン・ジャパン」だ。かつては、品質の良さから「メード・イン・ジャパン」がもてはやされたが、いま海外からの注目 を集めるのは「ユーズド・イン・ジャパン」だという。
「(日本人は機械の使い方が)優しい。みんなルールを守る。古くても機械をあまり傷つけないので、日本で30年使っても、海外でまた30年使える。だいたい50〜60年持つ」(バングラデシュ人バイヤー)
日本で使われた重機は、状態が良く寿命が長いことで、海外から注目されているようだ。バングラデシュ人バイヤーは「日本は建設機械の(最大パワーの)3分の1しか使ってない」とも語る。日本の重機は、最大100トンを持ち上げる性能があっても、規定により33トンまでしか持ち上げられず、たとえば50トンのものを持ち上げようとすると、2台の重機を使用する必要がある。安全のため、無理な仕事をさせないことで、重機の状態が保たれているのだ。
「家電・乗用車もそうだが、半導体不足があって、新車の納期が遅れている。非常に状態の良い建設機械が、新車より高く売れる場合も。アメリカ向けに出す建設機械は2、3年前に比べると、2〜3割上がっている」(相互通商株式会社・冨塚達也さん)
重機は元の価格が大きいため、相場が3割上がると、500万円ほどの違いがある場合も。さきほど話を聞いたバングラデシュ人バイヤーで、東京マシン株式会社の代表・チョウドリさんは、1150万円の予算でクレーン車を探している。
目を付けたとある1台は、すぐさま800万円台を付けて「もうちょっと様子見たほうがいい」と語っているうちに、一気に1000万円超え。「残念な結果だった。6カ月前までの値段は、そこまで高くなかった」と肩を落とす。
チョウドリさんによると、最近ドバイの富裕層が日本の中古重機市場へ参入し、お金を惜しまず出すため、価格が高騰しているそうだ。チョウドリさんは、その後ほかのクレーン車を落札した。東南アジアや台湾に運んで売却するという。オークションから3カ月たって、改めて話を聞くと、すでに売却済みだそうだ。
「機械が売れたのは5月の後半(買ってから1カ月後)。海外だとユーズド・イン・ジャパンを持っている会社は、日本から買ってきたというプライドがあり、周りに自慢する。(日本の中古重機は)問い合わせがすごい。1日に少なくとも20〜30件。日本の機械を“モノ”として売っていない。誰かが自分の子どものように守っていた“命”だ」(チョウドリさん)
(『ABEMA的ニュースショー』より)
■Pick Up
・キー局全落ち!“下剋上“西澤由夏アナの「意外すぎる人生」
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・「ABEMA NEWSチャンネル」知られざる番組制作の舞台裏