【第105回全国高校野球選手権記念大会】鳥栖工1-3日大三(2回戦・第9日・第1試合・甲子園)
【映像】女子マネジャー・緒方美月さんが絶叫する瞬間
8月14日に放送された「熱闘甲子園」で、第105回全国高校野球選手権記念大会(主催:朝日新聞社、日本高等学校野球連盟)の日大三(西東京)対鳥栖工(佐賀)の一戦を紹介。番組では、自ら必勝を期す形で“鬼”となり、鳥栖工ナインを叱咤激励しながら支え続けた1人の女子マネージャーに焦点を当てた。
鳥栖工ナインが練習するグラウンドでは、いつでも一際目立つ、なんとも勇ましい声が。グラウンドの選手たちの一挙一動に目を配り、「はよ入りーや!」「ちゃんと投げるっちゃ!」と厳しい檄を飛ばすのは、3年生のマネージャー・緒方美月さんだ。「ベンチでも自分たちより声出てるんじゃないか」「姉ちゃんみたいな感じ」と、同学年のナイン・藤田陽斗選手が語るその勇ましい姿は、まさに“グラウンドの鬼”。それもそのはず、彼女の帽子のツバには、「鬼」の一字が記されているのだ。
「自分はちょっと…(「鬼」と)書くのを躊躇したんですけど。何回も“書いていいの?”って聞いたんですけど、「鬼がいい」というので、思い切って大きく書きました。」と、前出・藤田が語るように、実はこの「鬼」の一字、緒方さん自身の申し出を受ける形で、躊躇いながらも藤田がしたためたものなのだという。
なぜ、自分の被る帽子に、「鬼」という文字を刻むことを望んだのか。緒方さんによると、「心を鬼にして、チームを鼓舞して、少しでも勝ちに貢献できたら」という強い想いがあったからなのだという。まず最初に、ナインに対してではなく、自分自身に喝を入れ、「鬼」の一字に勝利への貢献を誓うところから始まった彼女の“鬼”としての日々。彼女は、いつでも部員たちのことを想い、誰よりも声を出し、誰よりも部員を力強く支え続けた。結果、緒方さんは後輩部員たちも「チームに欠かせない存在」と語るほどの存在となり、チームもまた、悲願の甲子園への出場を決めた。
大会前には、部員たちからプレゼントされたという「21」の背番号を手に、「一人のベンチメンバーとして認めてもらえたのかなって。ベンチに入れていない3年生の分も自分が背負って闘っているので、甲子園でも恥じないように頑張りたいと思います。」と語っていた緒方さん。その言葉の通り、甲子園でも、彼女はベンチの中から、気骨ある姿勢で選手たちを鼓舞し続けた。
ベンチから身を乗り出すような姿勢で、「1ボール!1ボール!お前、ここやぞ!」と檄を飛ばし、守備では、一見ピンチを脱したかに見えた場面でも、「まだ2アウトだぞ!まだ2アウト!」と叫びながら、ナインに気の緩みが出ないように声をかけ続けた。そして、ピンチを脱すると、満面の笑みを見せながら、握ったペンが折れんばかりの力強い拳でガッツポーズ。選手たちと同じかそれ以上のボリュームで叫ぶその声は、試合途中で既に嗄れはじめているかのようにさえ見えたが、それでも、緒方さんの力強い声援はとどまることを知らなかった。ただひたすらに仲間を信じ、厳しくも温かい檄を飛ばしながら、全力で喜怒哀楽を共にする。まさにその姿は“闘将”そのもの。彼女が記録員であることを忘れさせるほどだ。
試合終了の瞬間、込み上げる感情を隠さんとしたのか、一瞬だけ笑顔を見せるも、あふれ出る涙を堪えきれずに俯いた緒方さんは、その後、選手たちと共に、隠すことなく涙を流しながらも、背筋を伸ばし、凛とした姿で夏空の下に立った。宿舎では、藤田から「ブランドバンドや応援の声もあったんですけど、それを消すぐらいの声で(檄を飛ばしてくれていた)」と、試合中の様子について語られると、気恥ずかしさを隠すように両手で顔を覆いながら、「それは言い過ぎやろ」と照れたように笑った緒方さん。それは、この試合で「鬼」を卒業した、1人の女子生徒の“等身大の笑顔”であった。
写真提供:朝日新聞社
8月23日 決勝のハイライト動画
準決勝までのデイリーハイライト動画も
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8/6 第1日 | 8/7 第2日 | 8/8 第3日 |
8/9 第4日 | 8/10 第5日 | 8/11 第6日 |
8/12 第7日 | 8/13 第8日 | 8/14 第9日 |
8/16 第10日 | 8/17 第11日 | |
準々決勝・準決勝(タップで動画へ) | ||
8/19 第12日 | 8/21 第13日 |
『熱闘甲子園』動画一覧
8月6日(日)の開幕戦から決勝まで無料配信! キャスターは古田敦也氏、斎藤佑樹氏、ヒロド歩美氏が務めます。
日 | 見どころ(タップで動画へ) |
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