学校プールの“飛び込み事故”なぜ起きる? 頚椎損傷、最悪の場合は死にも…専門家「技術だけでは解決できない問題」
【映像】なぜ、飛び込みで頚椎損傷? “悪い飛び込み”の実例動画
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 学校の水泳事故で多く報告されているのが、プールへの“飛び込み”事故。頸椎損傷や、最悪の場合死にもつながってしまう事故を防ぐことはできないのだろうか。

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 17日、横浜市教育委員会は2019年に中学1年の水泳部員が飛び込み練習中に頸椎を損傷し、後遺症が残る事故があったと公表した。実は、学校の水泳事故で多いのは溺れることよりも、飛び込み時にプールの底に頭や体をぶつけてしまうことだという。

 なぜ、飛び込み時の事故がなくならないのか。水泳教育の安全対策に詳しい桐蔭横浜大学・井口成明准教授に聞いた。

「すべての事故は、飛び込みスタート台付近の水深が浅い場所で発生している。今までの事故が発生している水深はだいたい1~1.3mだ」(井口准教授 以下同)

 問題はプールの水深。日本水泳連盟では水深1.35m以上を推奨しているものの、横浜の事故時の水深は1.16mと浅い状態だった。

「本来であれば、中高校生でも2m以上の水深は絶対に必要だ。ただ、溺水事故との関係もあるので簡単に深くすることはできないだろう」

 学習指導要領では小中学校の水泳の授業は「水中からのスタートを指導する」としているものの、横浜の事故が起こったのは部活動中の出来事。大会の規則や国際ルールなどは飛び込みスタートを基本としているため、部活動などでは飛び込みの練習を行っている。

 飛び込みについては、部活動でもきちんとした指導のもと事故に気を付けて活動している。しかし、ベテランの水泳選手でも事故の可能性はあるという。

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「ベテランになっても、疲労や新しい泳ぎに取り組もうとしていたりして、意識がスタート以外のところに向いている際は事故が発生することが研究で明らかになっている」

 実際、水泳経験11年の中学3年男子が25mを泳ぐときの“入水時の手首の水深”を比較したデータによると、1本目は約70cm潜っているのに対してスタート前に疲れを感じていたという4本目は約1.13m潜っていた。もし、横浜の事故のように水深1.16mだった場合、手首より下にある顔は底にぶつかってしまうことになる。

 水深や精神状態などで変わる飛び込み事故の危険性。こういった事故を無くすために、選手だけでなく指導者も万全の準備をしてほしいと井口准教授は語る。

「深いところで1.35mという基準があるが、できればそれ以上の深いプールを探してほしい。そして、それ以外のところでは絶対に練習中の(飛び込み)スタートをしない。日々の練習で疲労が溜まっているときには飛び込みスタートの練習は入れないなど、指導者がしっかりと把握してほしい」

(『ABEMAヒルズ』より)

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