2学期から子どもたちが平日に学校を休んで、家族旅行などを楽しめる新たな制度を導入する自治体が相次いでいる。導入の背景には何があるのだろうか?
【映像】 子どもと一緒に過ごす新たな休暇制度「ラーケーション」とは
日本有数の温泉地・大分県別府市。観光業で働く市民が多く、子を持つ人からはこんな声が上がっている。
「子どもと休みの日が合わず、家族旅行ができない」
そこで、別府市は今週から公立小中学校に通う児童・生徒を対象にした新たな休暇制度を始めると発表した。保護者が平日に「子どもを休ませたい」と申請すれば、年3日までは欠席扱いとせず、家族旅行などを楽しめるようにする取り組みだ。
こうした動きは、愛知県でも行われている。
「家族の休みに合わせて学校外での学習活動ができるように、新たに『ラーケーションの日』、校外学習活動の日を設ける」(愛知県・大村秀章知事)
学習という意味の「ラーニング」と休暇という意味の「バケーション」を合わせた「ラーケーション制度」。今週から年3日、公立の小中高学校と特別支援学校で始まる。新たな休暇制度の導入について、街の人からはこういった声も上がっている。
「(ラーケーションは)全然ありだと思う。そのあとの取り返しはいくらでもどこかでできると思う」
「子どもに授業を休んでもらっていくという罪悪感がない」
かつては学校を休んで出かけることは「ズル休み」とされ否定的にとらえられてきたが、最近では保護者の考えも大きく変化している。
家族旅行などで幼稚園や学校を休ませたことのある保護者は全体の半数以上、旅行などに行くために学校を休ませてもいいと答えた人は約7割に上ることが判明した。
しかし、ラーケーションを開始する愛知県で、唯一名古屋市だけは導入しないことを決定した。
このニュースについて、『ABEMAヒルズ』は教育経済学が専門の慶応義塾大学教授・中室牧子氏に話を聞いた。
――ラーケーション制度導入についてどう考える?
「ラーケーションを導入すると、親が子どもの休みに合わせて休暇を取る必要がなくなり、休日が分散されることで観光費用が抑えられ、大人にとってメリットだ。また、子どもにとっても旅行に行ったり家族で過ごすこと自体は良い効果がある。一方で、スウェーデンのデータを使った研究では、学校に行くことの教育効果は大きいこともわかっている。年10日ぐらいの欠席で悪い影響が出始めるということなので、バランスを考える必要がある」
――ラーケーションを取得できる生徒とできない生徒が出てきてしまう懸念についてどう見る?
「経済格差の問題は非常に深刻だが、それを理由にラーケーションを認めないのはやりすぎだと思う。ただ、この仕組みの中で旅行や家族で過ごす時間を担保しなければいけないかというと、それはまた別の問題なのかなと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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