つるの剛士「将棋は半分心理戦、難しさは増すのでは」永瀬拓矢王座の“名誉王座”か、藤井聡太竜王・名人の“八冠制覇”か 研究パートナー同士が激突する王座戦を将棋親善大使が分析
【映像】“研究パートナー”同士の激突を熱く語るつるの剛士

 将棋ファンが大注目する、第71期王座戦五番勝負が8月31日に開幕した。今期のシリーズは、永世称号の「名誉王座」獲得を目指す永瀬拓矢王座(30)に若き絶対王者・藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、21)が前人未踏の「八冠制覇」をかけて挑戦とあり、どちらにとっても歴史的偉業がかかる五番勝負に。アマ三段の実力を持つ俳優・つるの剛士は、長年の研究パートナーでもある両者の戦いを「将棋は半分心理戦、難しさは増すのでは」と分析する。「将棋親善大使」のつるのに、本シリーズの見どころを聞いた。

【映像】“研究パートナー”同士の激突を熱く語るつるの剛士

 将棋界を飛び越え、社会的注目を集めている今期の王座戦五番勝負。「将棋親善大使」として、アマ三段の将棋ファンとして、つるのの熱量はピークに達している。

 つるの剛士(以下、つるの) 「本当に世の中の皆さん、もうちょっと気付いた方がいいと思うんですよね!藤井先生の凄さに。14歳でプロデビューされて、まだ6年。あまりの速さに、皆さん追いつけてないですよね。多くの方は“凄さ”というものを体感せずに、『藤井くんすごいよね~』で終わっちゃってるのが残念で!こんな棋士、これから生まれないんじゃないかなと思っているんですよ!

(人間として)生きている中での“動体視力”では、追えないというような気がしています!スゴイ、という言葉以上の言葉があるんだったら何なんだろう、ってよく考えるんですよ。こんな人出てくるんだなというくらい、凄い先生です。宇宙人なのかな…(笑)」

 “全冠制覇”達成者は過去に羽生善治九段のただ一人。1996年に全七冠を制覇した羽生九段だが、前年の第44期王将戦七番勝負で谷川王将(当時)に挑戦した際はフルセットの大激闘の末に3勝4敗で敗退。翌年、六冠を保持し再挑戦した同七番勝負では、羽生六冠が4勝0敗のストレートで史上初の七冠制覇を達成した。

 今後もこの偉業だけは誰も並ぶことができないと言われてきたが、藤井竜王・名人が2023年の第81期名人戦七番勝負を制したことで史上2人目の七冠達成者が誕生。さらに2015年には新棋戦の叡王戦が設立され、2017年に同棋戦がタイトル戦に昇格。藤井竜王・名人は2020年の奪取以来3連覇を達成しており、保持する7つの一角となっている。

 七冠を引っ提げ最後に挑むのが、藤井竜王・名人がプロデビュー以来の研究パートナーとして多くの時間を共有してきた永瀬王座だ。過去、藤井竜王・名人は王座戦ベスト4が最高成績。今期も楽な戦いは一局たりともなく、中川大輔八段、村田顕弘六段、羽生善治九段、決勝戦を戦った豊島将之九段が、藤井竜王・名人の“八冠挑戦”を阻止するべく全力で戦いを挑んできた。

 つるの 「(永瀬王座は)来るでしょう、という感じで見てたでしょうね。しかも“最後の砦”ですからね。相手は最速でこれだけのタイトルを獲って、一般棋戦4つもすべて優勝してここまで来ているので、実質12冠で総ナメ。最後に永瀬先生に全プロ棋士が思いを託していると思うんですよね。

 成績を見ると永瀬先生が負け越していますが、永瀬先生は王座戦5連覇で名誉王座が掛かっていますからね。今期を逃すと、挑戦者になってから最速で5年かかることになるので、永瀬先生もすごい気合入っていると思います。全将棋ファンが見つめる戦いになるので、楽しみですよね」

 今期のシリーズは、対局者が“研究パートナー”同士であることも大きな見どころのひとつだ。両者は、藤井竜王・名人が最年少でプロ入りして間もない頃に配信されたABEMAのオリジナル対局企画「炎の七番勝負」で初対戦。当時の藤井四段は6勝1敗と大活躍し周囲の度肝を抜いたが、この時に唯一の黒星を付けたのが永瀬六段(当時)だ。この対局での出会いから練習将棋を繰り返す仲となり、コロナ禍を経て現在も研究会は継続されている。

 つるの 「正直、やりにくと思うんですよね。研究仲間だとお互いの手の内を全部わかっているので、どういう手を指してくるとか、人柄もそうですよね。将棋は半分心理戦みたいなところもありますし、お互いの人間性のようなところも理解し合っていると『ここでこう指すだろうな』とかいろいろあると思うんですよ。初めて将棋を指す相手ではないだけに、違う計算もしないといけないと思うんですよね。こう指してくると思う“裏の手”も指していかないといけないので、難しさは増すでしょうね。

 でも永瀬先生は本当に研究熱心で、どの研究会にも出られいるほどの方なので、どの棋士の手の内も全部わかっていると思うんですよね。結局、永瀬先生と藤井先生のようなレベルになると、結局のところ実力だけの戦いになると思うので、そのあたりも加味して本当に楽しみですね」

 藤井竜王・名人をもってしても「一生に一度の挑戦」と言う、歴史的な挑戦が始まった。「名誉王座」か、「八冠制覇」か――。棋史に残る瞬間の幕開けに、誰もが胸の高鳴りを抑えることができない。

(ABEMA/将棋チャンネルより)

【映像】“研究パートナー”同士の激突を熱く語るつるの剛士
【映像】“研究パートナー”同士の激突を熱く語るつるの剛士
【中継】第71期 王座戦 五番勝負 第1局 永瀬拓矢王座 対 藤井聡太竜王・名人
【中継】第71期 王座戦 五番勝負 第1局 永瀬拓矢王座 対 藤井聡太竜王・名人
サバンナ高橋茂雄、“八冠制覇”に挑む藤井聡太竜王・名人は「お笑い賞レース総ナメ&直木賞獲得、さらに始球式で160キロ出しちゃったみたいな!?」前人未踏の挑戦に驚き