藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、21)の八冠独占への挑戦が大きな話題になっている王座戦五番勝負。第1局が8月31日に行われたが、王座5連覇を目指す永瀬拓矢王座(30)が150手で勝利した。藤井竜王・名人がプロデビューして間もないころから研究パートナーとして切磋琢磨してきた実力者が、日本中が注目するシリーズの初戦を制したことで、今後の展開もさらに注目度が上がりそうだ。戦型は「角換わり」の熱戦だったが、永瀬王座は別のところでも“勝負手”を放っていた。それが「将棋めし」。名宿・元湯陣屋の名物である「陣屋カレー」に豪華な伊勢海老をオプションにつけたものを、昼食・夕食で2連発し、将棋ファンの話題を一気にさらっていった。
永瀬王座といえば、将棋に関するストイックさは右に出る者はいないとまで言われるほど。また対局中の食事やおやつも、一度ハマると同じものを連続するという凝り性でもある。かつてはバナナを大量に食べていたことで知られたが、その後はシャインマスカットやイチゴを食べ続け、飲み物ではコーヒーに強いこだわりを持った時期もあった。
自身も防衛すれば5期連続となり永世称号「名誉王座」の有資格者になる大きなシリーズ。最強の挑戦者である藤井竜王・名人を迎え撃つ立場だが、全てを整えて戦わなければいけない相手だ。永瀬王座と藤井竜王・名人は昼食で、そろって名物の陣屋カレー(ビーフ&伊勢海老カレー)」を注文したが、永瀬王座はなんと夕食でも同じく陣屋カレー(ビーフ&伊勢海老カレー)を注文。伊勢海老付きは、元湯陣屋でも久々に復活したオプションだったが、ここでも「永瀬流」が炸裂し、超豪華カレーを“千日手”でもするように続けて食べることになった。
周囲も驚いたカレー2連発だが、注文された側はどうだったのか。元湯陣屋の女将・宮崎知子さんに聞いた。「昨日(8月30日)の時点で主催社から『伊勢海老カレーを2回注文しても大丈夫ですか?』と問い合わせがあったので前もって用意していました。永瀬王座はカレーと抹茶が大好きで、去年も2回同じものを注文されたので心の準備はありました」。事前の連絡があったこともあり、しっかりと対策ができていたようだ。それでも今回は八冠がかかった藤井竜王・名人との対戦だけに、昼夜のカレー2連発のインパクトは昨年以上。しかも伊勢海老がついたということで、さらに大きな話題になったという。「今回の伊勢海老カレーが報道されて問い合わせがかなり来ました。宿泊プランとして、カレーに伊勢海老を付けられる特別オプションを実施することにしました」と、宿泊プランに急遽変更が出るほどだった。
これまで藤井竜王・名人がタイトル戦で食べた将棋めしが大きな話題になることはあったが、対戦相手のものが話題になるのは珍しいこと。これもまた名誉王座か八冠独占か、研究パートナー同士の決戦の行方は、など注目度の高さゆえだろう。
(ABEMA/将棋チャンネルより)