「涼しいオフィスで重機を操作」建設業界=3Kは過去 人手不足解消の切り札に?
【映像】現場の重機と連動する「K-DIVE」の操縦
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 高齢化や人手不足が深刻化する建設業界を「重機の遠隔操作」で救おうとしている企業がある。

【映像】現場の重機と連動する「K-DIVE」の操縦

 兵庫県神戸市のとある企業の敷地内で動いている重機。しかし、操縦席に人の姿はない。なんと、神戸から遠く離れた東京から遠隔操作しているという。

 建設機械の製造・販売を行うコベルコ建機が開発した重機の遠隔操作システム「K-DIVE」は、2022年の12月から提供が始まり、現在は国内で複数の企業が導入しているという。

「実際に乗って操作するのと同じ状況を再現しているので、(重機に)普段乗る方であれば普段通り操作可能」(以下、コベルコ建機・新事業推進部 佐伯誠司部長)

 重機が遠隔でも操作できるように、様々な工夫が凝らされている。

「例えば固い地面を掘ろうとしたときに少しのけぞる挙動を再現したり、画像とともにフィードバックされるので、オペレーターはそういった“固い”や“重い”ということを肌で感じながら操作できる」

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 さらに、重機の傾斜に応じて角度が変化するモーションシートも備えている。無理な作業などによる重機の転倒を防ぐため、傾斜を感じられるのはとても重要な機能だという。

 重機の遠隔操作は新しい技術のため法律などの規制はまだないそうだが、コベルコ建機では、操縦は重機の免許を持った人に限定している。機械の前方に搭載したカメラが操縦者の顔を認識して、システムに登録されていない人は動かせない仕組みとなっている。

「コックピットを置く環境をオフィスなどにすることで、オペレーターの働き方を改革して、この仕事に就いてもらえるような環境を準備できるという点がお客様にとても評価されている」

 5年以上前から重機の遠隔操作システムの開発に着手したコベルコ建機だが、その背景には年々深刻化する建設業界の高齢化と人手不足があった。

「どうしても現場で働くことに対して3K(きつい・汚い・危険)のイメージがあるということで、そういうところが払しょくできずに働き手が不足しているというのがお客様の最大の課題かなと思う」

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 建設現場のリモートワークを実現した「K-DIVE」が目指しているのは、働きやすさに加え、生産性の向上だ。この機械があれば、1台で複数の重機と接続可能で、1人のオペレーターが様々な現場の重機を動かすことができる。

 また、この技術によって多様な人材の確保が実現できるのではないかと佐伯さんは期待感を膨らませる。

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「今まで入職してこなかったような層の方が、こういうオペレーター業についてくれるという期待がある。最終的には、『ゲーマー』と呼ばれる人たちもこういった業界で働いてくれるような世界観を達成したいと思っている」

 一方、現場の安全の確保や遠隔操作に必要な通信インフラの整備など課題もあるという。今後、さらに機能をアップデートしていきたいと話す。

「ゆくゆくは自動運転との組み合わせで、1人の生産性を2倍にも3倍にも上げていけるようなシステムに、どんどん成長させていけたらと思っている。人は減っていくけれどインフラ工事はまだまだ増える一方で、そのギャップをどう埋めるかに我々のこういった技術・サービスを使ってほしい」

(『ABEMAヒルズ』より)

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