将棋の永瀬拓矢王座(31)に藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、21)が挑戦する第71期王座戦五番勝負が開幕。9月12日には第2局が予定されている。声優でアマ三段の実力を持つ岡本信彦も、この頂上決戦に大注目。将棋界の全タイトルを手中に収めるべく大挑戦に臨んでいる藤井竜王・名人について「マンガやアニメ、あらゆるエンターテイメントの“主人公”キャラを超えた存在、生ける伝説」と熱く語った。
永瀬王座の「名誉王座」獲得か、藤井竜王・名人が前人未踏の「八冠制覇」か。どちらが勝っても棋史に残る偉業がかかるシリーズが8月31日に開幕した。第1局は、永瀬王座が後手番で藤井竜王・名人の得意の角換わりの将棋に勝利。5連覇と永世称号獲得に向けて好スタートを切った。声優界きっての将棋好きで「将棋ウォーズ(オンライン将棋対戦ゲーム)対戦経験は一万局以上」を公言する岡本は、両者の対局に「今までに見たことがない棋譜が出来上がるのでは」と大きな期待を寄せていた。
『観る将(観る将棋ファン)の聖地』として今年6月にオープンしたイベント施設・駒テラス西参道で藤井竜王・名人とラジオ共演した経験を持つ岡本は、直接対峙したことで“絶対王者”たる所以を体感したという。
岡本信彦(以下、岡本) 「(共演できたことが)光栄で、何を話していいかと思っていたんですが『一週間お休みがあったら何がしたいですか?』と聞いてみました。藤井竜王・名人の趣味の部分が知れるかなと思っていたのですが、『何もしていないです』と答えられたんです。深く聞いてみたところ、本当に『何もしていない』訳ではなく、毎日行われている公式戦の中継や将棋関連の何かを見ているそうなんですね。すべての生活が将棋に繋がっていて、すべてが将棋への愛やリスペクトでできているんですよね。
マンガやアニメ、エンターテイメントでは“主人公”や“ボスキャラ”というものが多々いると思うんですけど、それをも超えた経歴の持ち主であり力の持ち主だと思っています。イメージとしては“生ける伝説”です。21歳の方とは思えないほどのパワーを持っていると思います」
芝居や声優としてキャラクターを演じるにあたり心情を読み解くプロでもある岡本は、このシリーズに臨む両者の心境にも寄りそう。
岡本 「ご本人はそんなに(偉業達成への)思いやプレッシャーのようなものはそんなに無いかもしれないですよね。でも、周りからの望みや思いが言葉やオーラとして迫ってくるような感覚があるかもしれません。周囲からの『がんばってね』の一言がひとつひとつ背中に乗ってくるような感じなんですけど、その一個一個の重さって実は相当なものなのではないでしょうか。
『いつも通りの将棋』という気持ちと、『周囲の思い』のせめぎ合いにになるのかなと思っていて、今回ばかりは皆からの思いが少し重いのではないでしょうか」
今期のシリーズは、研究パートナーを公言している両者による戦いに。永瀬王座も「私が一番藤井竜王・名人のすごさを知っている」とコメントするなど、互いの持ち味、手の内を知り尽くしている。
岡本 「そうなってくると、どっちの気持ちが強いかで決まる戦いになるのではないでしょうか。藤井竜王・名人が攻めてきて永瀬王座が受け止める展開になると予想しますが、その底力が見どころになると思います。
将棋の歴史の中でもトップ3に入る盛り上がりを見せるタイトル戦になると思いますし、間違いなく良い棋譜が出来上がると思うので楽しみにしています」
将棋史はもちろん、社会現象として多くの人の記憶に刻まれるであろうシリーズは永瀬王座の先勝で9月12日に第2局を迎える。歴史的シリーズを制するのは永瀬王座か、藤井竜王・名人か、今後の展開から目が離せない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)