2021-22シーズンに女性選手としてはリーグ2人目のMVPに輝き、昨期もレギュラーシーズン+270.3ポイントで個人ランキング3位と、Mリーグの中で確かな結果を出し続けているU-NEXT Piratesの瑞原明奈(最高位戦)。チームの“船長”小林剛(麻将連合)をはじめ、昨期加わった鈴木優(最高位戦)、仲林圭(協会)とのチームも2年目を迎え「今年こそは優勝できそうな気がしている」。思わず出た言葉に瑞原は「我ながら大きいことを言っちゃった」と笑みをこぼした。
【映像】Mリーグ2023-24シーズン 開幕直前インタビュー
-昨期、残念ながらチームはセミファイナル敗退。一方、個人としてはMVP争いを最後まで繰り広げるような展開だった。振り返りを。
瑞原明奈(以下、瑞原) 新チームになって最初の年ということで、はじめは結構、手探り状態からスタートしていました。結論から言うと、すごくいい感じになってきた。「このチームは強いな」と手応えを感じた一年でした。今期このチームで戦うのが楽しみと思えたというのが総括になります。
-小林剛選手に聞くと新たに入った2人は序盤、緊張していたと。潮目が変わった時期は。
瑞原 1月にチームが5連勝した時かな。そこから勝ち切れずにセミファイナルで敗退しましたが、セミファイナルで特に仲林選手と優選手の活躍があって、チームに一体感が出てきたと個人的に思っています。
-新たに2人が入ったことで、自身にプラスになったこと、吸収できたことは。
瑞原 大きく自分の麻雀が変わったかと言うと、そういうわけではありません。だけど、細かいところではたくさん教えてもらうなど、学ぶことは多かったですね。
-それぞれの強みとなる要素がある。
瑞原 正解を聞きたい時は仲林さんに聞く感じです。「ここで一番バランスのいい選択は何なんだろう」ということを聞きたい時は、仲林さんに。優さんはパイレーツの中で麻雀が似ているというか、感覚が似ているので、優さんには「ここならどうしますか?」という聞き方が多いです。
「自分のバランスでの選択ではこれでいいんだろうか?」というのを知りたい時に、優さんに聞く感じで。そうではなくて、平たく「一番この場合にバランスがいいのはどれだろう?」というのを聞きたい時に聞くのが仲林さん。それを聞いた上で、自分なりに擦り合わせて結論を出すという感じですね。
-チームとして成熟し始めた。一方で、今期レギュラーシーズンで敗退するとチームメイト交代をしなくてはならない。これについては。
瑞原 すぐにまた同じ状況になってしまったことは不甲斐なさを感じています。でも、1年前に達成できなかった目標をリベンジする時が早くも来たなという感覚もあります。その時の自分にできなかったこと、チームとして越えられなかった壁を、もう一度試される機会というか。「今度こそは絶対に」という気持ちがものすごく強いです。
-今でも朝倉康心選手、石橋伸洋選手が抜けたことは心に残っている。
瑞原 めちゃくちゃ心の中にあります。あの時の悔しさは今でも全く消えていませんし、パイレーツクルーのみなさんを悲しませてしまった、というのは自分の中で重く残っている。同じ思いを自分もしたくないし、ファンの人たちにも絶対、味わって欲しくない。その当時も同じことを思っていましたが、今度こそは、ですね。
-一昨年、同じ環境で取材をした時は「それほど気にせず」と。やはり、1度経験してしまうと、そういうものではない。
瑞原 そのレギュレーションを、麻雀を打っている時に意識するかと言えば、それは「ない」と思っています。やることは変わらない。そういう意味では気にしません。結局、一昨年と同じ感覚にはなるかな、と。
-開幕を控え準備していることは。
瑞原 コロナ禍があって、チーム練習も対面では難しくなっていましたが、このオフシーズンは「率先してチーム練習を組みましょう」という感じでやってきました。昨シーズンを通して何でも話せるような環境になりましたから、チーム練習のし甲斐があります。今期に向けて一体感を持つ意味でも、オフシーズンはチーム練習に積極的に取り組んでいました。
-Mリーグには7人、新たな選手が入った。気にする選手・しない選手がいるが、瑞原選手はどちらのタイプか。
瑞原 真ん中な気がします。気にはしますし、新しく入る方の対局を目にする機会があれば「見ておこう」と思います。一方で、過去の対局を掘り返して見るかといえばそうではない。前知識としてざっくりとどういう雀風かイメージはあったほうがいいと思いますが、あまり見すぎるのも良くないな、と。
-個人およびチームの目標は。
瑞原 個人目標は毎年ですが、1ポイントでも多くプラスを持ち帰る。チームとしては、これも同じことを言い続けて悔しいですが、最低でもレギュラー通過。そんな中で、今年こそは優勝できそうな気がしています。去年くらいまではファイナル進出を目標に、と言っていた気がしますが、今期は目標を大きく。1点狙いでいきたいと思います。我ながら大きいことを言っちゃった(笑)。
-瑞原選手がこういう発言をするのは珍しい。
瑞原 去年、チームメイトの麻雀を見ていて「他のチームに入って戦うのが嫌だな」と思ったんです。本当にみんな強いな、と。新しいお二人にもそれぞれの強さがあって、去年1年間を通してMリーグに適応してきている。今年は本当に勝てるんじゃないかと思っていて。新しく入った人、チームもあり、やはり負けたくない気持ちもすごく強いので、希望的観測と、あとは実感値として優勝を目標に。確かに、珍しいかもですね(笑)。
-渡辺太選手が入ってきた。瑞原選手も天鳳プレーヤー。交流はあるか。
瑞原 交流は特にありませんが、オンライン上で同卓したことは何回もあります。私、アカウントが何個かあるので、向こうが認識していないものも含めれば、かなり同卓の数はあると思います。
-渡辺選手に何を期待するか。
瑞原 これは対戦相手としてどうこうではなく、いち視聴者感覚として、Mリーグの舞台で渡辺さんの麻雀を見るのが楽しみな気持ちです。対戦相手としては…とは言っても麻雀なので、いろいろ同卓していく上で、相手のことを知っていきつつ、戦おうと思っています。
-そんな中でも渡辺選手は、どういうところが強いか。
瑞原 なによりネット麻雀の実績ですよね。日本で見てもケタ違いの実績を出している。ネット麻雀の称号は一時の運で達成できるものではありません。本当に何万半荘という試行回数を繰り返した上で出している成績なので、やはりそこの信頼度はすごく高い。
しかも、天鳳だったり雀魂だったり、4人麻雀だったり3人麻雀だったり、全てにおいて成績を残しているというのは本当にとんでもないことだと思います。その中で特に思うのが、ネット麻雀は数をこなさないといけないんですよね。酷い理不尽な目に合っても、とにかく打ち続けないと到達できないところに、何度も到達してらっしゃる。それはものすごい精神力や忍耐力がないと達成できないことだと思います。そういう意味でもすごく楽しみな選手です。
-勝利する自信は。
瑞原 自信もなければ、特に苦手意識や恐れもありません。本当にフラットな感じ。ただ、同卓経験がある分、全く知らない人よりかは、得体の知れない存在みたいな恐れはないです。
◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズンを戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。さらに上位4チームがファイナルシリーズに進み優勝を争う。優勝賞金は5000万円。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)